3人が本棚に入れています
本棚に追加
「あっ…」
「莉々ちゃん、切れてるよ?」
「あ、うん?
絆創膏は…
切れてたや」
「保健室に貰いに行ってきたら?」
「うん、そうする」
莉々は教師に怪我した事を告げると、保健室へと1人で向かった。
「捺芽くん、心配?」
「そりゃ、心配だけど…」
「あ、チョコ生…
冷蔵庫に入れとかないとね?」
莉子は冷蔵庫に莉々の手作りのチョコ生を入れていたが、捺芽は生地をオーブンに入れていた。
「後は焼けてから仕上げね」
「フルーツも冷やしとくよ」
「片付けしてましょう?」
三人が使った道具を片付けている頃、莉々は保健室の扉をノックして入っていた。
「失礼します?
絆創膏貰えますか?」
「…怪我したのか?」
「あ、はい?
アレ?」
「どうかしたか?」
「有村先生は?」
「あぁ…
彼女なら産休に入ったから臨時で入ることになった。
水瀬玲だ」
「…?!」
莉々は黒縁眼鏡で気付かなかったが、玲本人だと気付いてしまった。
「えっと、君は…
三年生?」
「秋月莉々です」
「…え?」
玲は下を向いたままで話していたので、パッと顔を上げては莉々を見ると驚いていた。
「莉々って…
あの小さい頃、よく遊んでた莉々か?」
「やっぱり玲くんだ」
「フッ
久しぶりだな、莉々」
「…そうですね?
それより絆創膏貰えますか?」
「何、怪我してんだか?」
「玲くんには関係ないでしょ?」
「ほら、指出して?
消毒するから」
「…」
莉々は少し戸惑いながらも指を見せると、玲は丁寧に消毒して絆創膏を貼ってくれていた。
「あ、ありがとうございました」
「なぁ、莉々」
「はい?」
莉々が保健室から出ていこうとすると、玲は何故か近付いてきては扉が開かないように塞いでいた。
最初のコメントを投稿しよう!