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「……ほんと?」
あたしは、泣きながら、訊いた。
「うん。ほんと」
お姉ちゃんは、微笑んで答えた。
あたしは、手すりを越えて、また、戻って来た。
そして、顔を上げた。
すると、もうそこには、誰もいなかった。
あたしの、死ぬ前のまぼろし?
そう思ったけれど、お姉ちゃんの言葉は、残っていた。
「いつまでも、負け犬のままじゃない」
あたしは、思った。
これからは、その言葉を信じて、生きていこう。
お姉ちゃんが、伝えに来てくれたのだから……。
そう、強く心に決めた。
そして、俯いてばかりいたあたしが、初めて見上げた空は、遠く、どこまでも青かった。
ー END ー
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