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水島は、隣に座って、ねぎらいの言葉を掛けた。
「すごく良かったよ!──リズム感いいね。声もよく出てたし、最高だったよ」
「ありがとうございます・・・」
やっとの事で、そう言いながら、スティーブの顔は赤い。明らかに熱が上がっている。潤んだ目が水島を見上げる。
「早く帰って休みなさい。喉を大切にしてね」
水島はスティーブの肩を優しく抱いている。
キーボードのエディは、少し離れた場所から、なんとなく二人の様子を見ていたが、次の瞬間、目が水島の手に釘付けになった。
肩に置いている水島の手が、だんだん下がってきて、スティーブの腰のあたり、更には内腿の奥を撫でている。それが敏感なところに触れたのか、スティーブは座ったまま、身を捩る様にして、水島の肩に顔を埋めた。
そして熱を確かめるように、水島がスティーブの手を握った。しかしそれにしては、握り方がおかしい。指を絡め過ぎている。
『え・・・っ?』
水島の目つきは、いつもと違う。優しいだけの水島先生から、牡の目になっている。
『水島先生、まさかスティーブと──』
エディは瞬時に、二人の関係の明らかな変化を感じ取った。
すでに男に愛されたことのあるエディには、カンでわかったのだ。
『どうして、僕より先にスティーブに・・・・・』
それは確かな妬みだった。
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