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「恥ずかしいから見ないでください」
「そっ、それはっ」
ルミは見ただけで失神しそうになった。坂上は急いで繋ぎ服を着た。薄手の生地だからモノが透けて見える。長靴を履いてバンダナを巻いた。
「これでいいでしょうか?」
「いいわよ、100点満点よ。こっちも」
モノを擦り上げたが変化はない。ルミは年増で嫌われていると思い込んだ。
「あなた、年上は嫌いなのね」
ルミが寂しい顔をした。
「そうじゃありません。あんまりそう言うこと考えないようにしているんです。この会社に来たのは野球部を立て直して先ず一勝することです。失業した僕達に声を掛けてくれた社長に報いたいんです」
坂上はルミの悲しげな表情を見ていると切なくなった。自分が年増嫌いなどと思われたくなかった。しかしゲイを明かすわけにはいかない。
「そう、やさしいのね。私ね今年52歳になるけどずっとシングルを通して来たの。それは男なんかに負けないわと強い気持ちを貫いて仕事一筋生きてきたから。でもね、いくら頑張っても社長にはなれない。今の課長止まりが自分の人生だって諦めたらね、無性にやりたくなってね。それでも会社の男には声を掛けられないかった。そんな折にあなたが入社したでしょ。あなたならこれまでのキャリアなんか関係なくお付き合い出来ると思ってアプローチしたの。出も馬鹿よね私は、そうそう思う通りに行くわけないわよね」
ルミが寂しそうに笑った。坂上はモノが反応するならルミを相手にしてもいい。だがルミにいくら刺激を与えられても希望に沿えない。ここに植木がいれば良かった。いや植木でなくても、若い男がいれば想像するだけでモノは反応する。
「小柳飼育課長はおりますか?」
若い男が更衣室に入って来た。
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