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「シュミットさん、助監督に任命されました坂上です。至らないところが多々ありますが宜しくお願いします」
「多々って、ナンデスカ?」
「すいません、多々って言うのはたくさんあると言うことです」
まだ日本語が完ぺきではないと思った。
「チガウヨ、多々ってドレトドレ、イタラナイとこゼンブオシエテ」
からかわれていた。
「シュミットさんは意地悪な人だ」
「ソウジャナイヨ、アゲアシトリだよ」
アメリカ訛だが癪に障るぐらいジョークに長けている。
「シュミットさんは南さんと交際しているんでしょ?」
「マアネ、デモ、ケッコンをカンガエテイナイ。カノジョのアソコ、デカイ、フカイ、ニホンジン、チイサイ。ミナミ、モノタリナイ」
坂上は昨日の風呂上りに南に助けてもらった。その時モノをアソコに押し当てた。南とシュミットが結婚を前提に付き合っているなら申し訳ないと思ったがシュミットの話では遊び友達のようで安心した。
「ヨシオカからキイタヨ。キミのモノはデカイラシイね」
大浴場での話は既に拡散していた。
「それほどでもありませんよ」
「ごケンソンを」
坂上はレフトから離れた。マウンドではこのチーム唯一のピッチャーである相田弥生が中国人の黄を相手に投球練習を始めた。監督がじっと見つめる。球は早いがノーコンである。キャッチを務める黄は上下左右に移動してやっと捕球している。
「コントロールが定まればな」
監督が独り言のように嘆いた。そこに植木が寄って来た。
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