助監督はBL

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「これから千葉まで行く」 「千葉、何しに?」 「会社の野球部を立て直したい会社があるんだ。その社長は実業団野球で一勝したいと願っている。それで俺達の事を知り誘われた」 「一勝ってそんなに弱いチームなんだ?」 「ああ、渡りに船だ、やってみないか?」 「真一がやるなら僕は付いて行くよ」  二人は最寄駅からバスで20分走り牧場に到着した。 「いいところだな」 「でも通えないな」 「寮があるらしい、お前はあの高額なマンションを引き払って寮に引っ越せ」 「真一は?」 「俺は車で通うつもりだ。片道2時間掛かるけどな」 「僕と一緒に寮に住もうよ」  坂上は植木が自分のことを避けているように感じた。 「なんか恐いんだ、お前と一緒にいると。俺はこれからどうなるんだって頭が混乱するんだ。もう俺達も来年30になる。おふくろから孫の顔が見たいって電話が掛かって来る。俺は女も好きだけど昭のことが大好きだから、離れられなくなるのが恐い」  植木は正直な気持ちを吐露した。 「離れなくていいんじゃないの。お互いが好きならそれでいいと思うけど。僕は正月に帰郷して両親にはっきり言うつもりだ」 「びっくりするだろう両親?」 「妹は僕の性を理解してくれている。小学生の時から何となくこうなることを予想していたらしい。だから両親にも誤魔化してくれていた」  話しながら歩いていると会社の入り口に到着した。ログハウスである。中に入ると数人の事務員がいた。
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