助監督はBL

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『さすが爆竹ボンバーズのエース花形は三人を空振り三振に打ち取りました。どうやら投手戦になりそうですね田淵さん』 『そうですね、本格派と本筋派、見逃せない試合になりますよ』 『そうですね、青田さん、ファーマーズのバッティングはどうでしょうか?』 『問題はそこですね、四番の植木選手はトレードされたばかりですが打率王を取得した一流選手ですね。弱輩チーム立て直しに呼ばれた言わば助っ人ですからね、どこまで身を入れて出来るかどうかですね。また弥生投手がいくら筋見せでかく乱しても点が取れなけりゃ勝ちはありませんからね。それにボンバーズの打線がいつまでも筋に気を取られているとは限りませんよ。一発があるかもしれません』 『一発とはまさか筋狙いですか?』  二回は四番の植木からである。ピッチャーの花形とは以前からライバル関係にあった。 「おい植木、こんなへっぽこチームに入って自分の価値を下げるつもりか」  花形がマウンドを降りて植木に言った。 「花形、余計な心配をするな。へっぽこチームに負けたら引退だな」  植木が言い返した。ツーストライクと追い込まれた三球目だった。バットを短く持ち替えてライト方向にライナーが飛んだ。ファーストの頭を抜いてライトがボールを追うが二塁打となった。 『二回の裏ファーマーズに初ヒットが出ました。植木は名門校から強豪チーム、そしてこのファーマーズに移籍して掲げる先ずは一勝の立役者となれるでしょうか。さあ5番は一発がある櫻島です。一発か三振の二択で生きる男櫻島、さあ故郷桜島のごとく猛々しく噴石を飛ばすことが出来るでしょうか』 『花形君は植木君に挑発されて冷静さを失っていますからね。高めに来たら危ないですよ』
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