助監督はBL

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「すいません、高橋社長はおられますか?」  植木が手前の事務員に訊いた。 「社長は裏にいるわ、牛の乳搾りを子供達に教えています。どうぞ、こちらから出ると近いから」  二人は事務員の後についてログハウスの中を歩いて反対側のドアから出た。 「社長、お客様です」 「おう、よく来てくれた。後は頼むよ」  乳搾りの体験学習を部下に任せて社長が二人の前に出た。 「やる気になってくれたのかな?」  坂上は作業着の社長を見て条件も訊かずに思わずはいと返事をしてしまった。 「そうかね、そりゃいい、よし野球部を案内しよう」  牧場の一角に野球場があり練習をしている。 「おおい」  社長がバックネット裏からノックをしていた大きな男に声を掛けた。大きな男は社長に一礼して守備に就いている選手に集合を掛けた。駆け足で戻って来る途中でレフトの野手が躓いて転んだ。泣きそうな顔をしてる。サードが戻ってレフトを起こし上げて戻って来た。 「みんな練習中に悪いが新しい仲間を紹介しておく。こちらが植木真一君、こちらが坂上昭君。共に名門高校野球部卒で名門大学野球部からアンバサネットサービスに入社、そしてみんなも知って聞いているようになった。運よく私の後輩がアンバサネットサービスにいたので野球部のことを聞いたら解散になるとのこと。なら是非にと紹介していただいたのがこのお二方である。さあお二人自己紹介をお願いします」  植木が坂上の背を押した。
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