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「他にはいない。これで全員、ベトナム人の学生が二人いたんだが四月に帰国してしまった」
「それじゃ僕等を含めて11人ですか?」
「そういうこと」
二人は唖然としている。
「それで君等に担って欲しいことがある」
監督の野村が二人をベンチに呼んだ。
「それじゃわしは戻る。後は頼むよ」
社長が手を上げて戻って行った。
「何でしょうか?」
「どちらかに助監督をお願いしたい」
「えっ、いきなりですか?」
植木は訊き返した。
「俺がいる時はいいが研修で抜ける時がある、形だけでも監督がいないんじゃ試合に出られない。なっ、頼む」
野村が手を合わせた。
「昭、お前やってやれ」
植木が坂上を指名した。
「僕が?」
「ああそうだ、俺はレギュラーで試合に出る。お前は代打でここ一発のスクイズが得意だ。兼任すればいい」
坂上はバントが得意であり、一点差の時はスクイズ成功率60%である。
「真一が言うならやるよ。監督教えてください」
坂上が野村に頭を下げた。
「そうか、やってくれるか。ありがとう。それで君達いつから来れる?」
「明日から雇用してもらうことになっています」
「部署は?」
「まだ分かりません」
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