助監督はBL

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助監督はBL

 2000年の3月だった。勤める会社が倒産したとテレビで放映している。一昨日の金曜日は普通に出勤していた。 「もしもし、テレビ観た?」  同僚である植木真一からの電話だった。 「ああ、ドッキリだろうか?」  坂上昭は勤めている会社があまりにも儲かっているから税金対策でテレビ局に金を支払い社員を驚かそうとしているのだと思った。 「まさか、あの社長は楽天家だけどそこまでやらないだろう。日曜だけど行ってみないか?」  植木は坂上を誘って会社まで出掛けた。会社が入っている高層ビルの7階、8階、9階ロビーにはテレビを観て駆け付けた社員や株主、出資者や客が入り乱れて混沌としていた。誰が誰に話し掛けるでもなく、突然の出来事に当たり場所を探している。更に客が押し寄せてくる。社員証を付けた者が客に囲まれて小突かれている。 「やばい、ここ逃げよう」   呆気に取られている坂上を引き摺り出すように外に連れ出した。 「社員証を外せ」  二人は客に成り済ましじっと様子を見ていた。 「ドッキリをここまでやるかな?」 「お前、まだそんなことを言っているのか、事実だよ、俺達の会社は倒産したんだ」  のんびり屋の坂上がこの場においてもドッキリと信じているので植木が肩を揺さぶった。 「それじゃ社長はどうしたんだろう」 「海外にがっちり残しているさ。損したのは騙された客と俺達平社員だけだよ」
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