第二章

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「あ…… 」 赤くなってしまった顔を思わず背けた。 「あ、の… 東城さん、何か着てください」 「瑛大ね」 「… 瑛大、さん… 」 「え?だめ?」 腰にバスタオルを巻いただけの東城さん、筋肉で覆われた逞しい身体が眩しくて、いや、そうじゃない… 何処を見ればいいのか目のやり場に困る。それに少し、いや凄まじく股間が主張している。 「ん〜、風呂上がりはいつも暫く何も着ないからなぁ」 「だって… それで食べるんですか?」 「うん、だめ?」 困って俯いていると「分かった、分かった」とベージュのバスローブを羽織ってきた。それだって、何だかドキドキした。 「茉紘の嫌がる事はしないからなっ!」 笑いながらダイニングの椅子に腰掛けた。 「あ、茉紘も風呂に入っちゃえば?まだ丼、用意してないだろう?俺、一つ仕事片付けちゃうから」 そう言って僕にもお風呂に入るように勧めた。そうか、お風呂もそうか… と一人であれこれと考えた。今までは東城さんが来ても、帰ってからお風呂に入っていたから、こんな新しい生活リズムにも戸惑う。 えっ!? 浴室だけで以前のボロアパートの部屋位あった。 右や左、天井や床をキョロキョロと見ながら身体を洗った。 ん?これ何だろう?とスイッチを押すと、浴室と寝室の間の複層ガラスの中のブラインドが自動で開いて寝室が丸見えになった。って事は、寝室から浴室も見えるって事で…! えっ!待って待って!慌てて色々スイッチを押して、開いたり閉じたりしながら漸くブラインドが閉まってくれてホッとする。 僕、ここで暮らしていけるのかなぁ… 。 果てしなく不安になって、大きすぎる湯船に浸かって天井を見つめた。 「何だよ、茉紘もバスローブ羽織ってくればいいのに」 いつものTシャツに、膝丈の短パンを履いて出てきた僕に残念そうに言う。 脱衣場にもう一着バスローブがあったけど、そんなの着てたら落ち着かないし、東城さんみたいにカッコよくないから却って見っともないもん、と心の中で呟いた。 キッチンで用意してると東城さんが「手伝うよ」と傍に来た。 「大丈夫ですよ、座って待っててください」 普通に笑ってそう言ったのに、動かない東城さんがピッタリと僕にくっ付いている。気のせいか下半身を押し付けてきている気もした。 「あ、の… 」 僕の嫌がる事はしないって言ったよね、でも… こんな暮らしをさせて貰えるのに、それが通用するのかと途端に不安になる。どうしてよいのか分からずに動かずにいると、間違いなく下半身を押し付けてきているのが分かった。背の高い東城さんの硬いモノが僕の腰の辺りに当たっている。 「茉紘… 」 「… 僕っ!ごめんなさいっ!」 寝室に駆け込んで鍵を閉めた。 怖かった。凄く怖くて足が震えて、その場で座り込んだ。 「茉紘… 」 突然、東城さんが寝室に現れて、初めて会った日のように腰を抜かした。 「と!東城さん!」 「バスルームからも寝室入れるからね」 泣きそうになって、というか、もう涙が溢れんばかりで東城さんを見つめると、申し訳なさそうな顔で僕の前にしゃがみ込んだ。 「ごめん、本当にごめん… 怖がらせて、ごめん… 」 その言葉に、堪らず涙がボロボロと溢れてしまい余計に東城さんを困らせてしまった。 「カルボナーラサラダ丼?明日でも大丈夫かな?今、仕事の連絡が入って、行かなきゃいけないんだ」 嘘を吐いてくれているんだと思った。 怖いけど、東城さんと離れたくない気持ちもあって、僕はどうしていいのか分からない。
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