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勃ってしまったアソコを鎮める為に、他の事を考えて集中したけれど、集中すればするほど思い浮かぶのは東城さんの顔で姿で、昨日の光景。
辛くて踞った時にメールが届いた。
『秘書の来栖川という者がマンションに行くから、話しをしてくれ』
東城さんからだった。
秘書?話し?何の?スマホを見ながら首を傾げると、間もなくインターホンが鳴る。
モニターに映っていたのは驚くほどに綺麗な女性で、モニターのカメラの位置が分かるのか、カメラ目線で、実際に見られている気がして視線が泳ぐ。
お陰で股間の膨らみが収まってくれて助かった。
「おはようございます。専務の秘書をしております来栖川澪といいます」
名刺を差し出し丁寧にお辞儀をされた。何だろうと、次から次に起きる知らない世界に僕の頭は混乱して、はぁ、と名刺に目を遣りながら、軽く頭を下げた。
「さて、野々上茉紘さん、どうなさいますか?」
え?どうなさいますかって何が?
「何が… ですか?」
モデルの仕事でもしていたのだろうか、それ程にスタイルも良くて背は僕より少し高い、少し俯いて上目遣いで来栖川さんという人を見た。
「なるほど… 」
もう、何が「なるほど」なの?不安な思いが顔に出てしまった様だった。
「専務の好みをそのまま絵に描いた様な子ね」
昨夜の事を知っているのかと思って、酷く狼狽えた。
「あ、え?と… 好み、って?」
「専務の恋愛対象は男性です。ご存知でしょう?」
確かに、その様な事は散々言われた。でも、僕の嫌がる事はしないって約束してくれたし… もう、されちゃったけど、気持ち、良かったけど… 知っててここに越して来たのだろうと、この人は言っているんだな、そう思って、頷くのもどうかと思って、少し首を傾げた。
「もし嫌なら、直ぐに新しい部屋を御用意します。此処を出て行って頂いても大丈夫です」
「えっ!?」
いきなりの提案に驚きが立て続く。
「嫌ならって… だって東城さんは、僕の嫌がる事はしないから、此処に越して来てくれって言ったんです。その… ここに住むって事は… 嫌な事を受け入れる条件、で、すか… ?」
恐る恐る、にこりともしない秘書の来栖川さんを上目遣いのままチラリチラリと視線を送った。
「いえ、野々上さんの嫌がる事はしないという約束は守る、と専務は仰っています。でも… 致してしまったのかしら?」
来栖川さんも少し首を傾げて僕を見たから、真っ赤な顔になり、馬鹿な僕は狼狽えて無意識に股間を押さえてしまった。
その様子を見て、ふふっと、初めて来栖川さんが笑った。
「これじゃあ、専務もゾッコンになる筈だわ」
唇を噛み、顔を顰めて僕は少し不貞腐れた様になる。
「どうしますか?新しい部屋の費用は心配無用です。そこには専務は行かないそうですから安心してください」
もう、東城さんには会えないって事?
胸がキュッと少し痛んだ。
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