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何度か通ったクライアントの店から駅までの帰り道に、木々に囲まれた公園があることに初めて気がついた。
「ちょっとそこのショップでアイスコーヒーでも買って、休憩しよっか」
私は公園の向かいにあるコーヒーショップでコーヒー2つをテイクアウトし、青山君を連れて公園へ入った。
澄み切った大きな池を中心に、ベンチ、ランニングコース、小さな遊具まである、思ったよりも大きな公園だった。
遊ぶところ、というより憩いの場のようだ。
小さな子を連れた女性や複数のご老人が木陰のベンチに座り、お弁当を食べたり談笑したりしている。
7月の半ばだというのにこの公園は涼しくて心地よい。
「はい、青山君。こぼさないように気をつけて」
ふたり池にむかってベンチに並んで座り、コーヒーを半分ほど一気飲みする。
冷たい液体が身体を冷やし、ちょっと頭がスッキリした。
「…今日は本当に、すみませんでした」
青山君は受け取ったコーヒーを見つめたまま呟く。
鳥の囀り、おばあちゃんたちの笑い声…。
水面のカルガモが起こす波紋が、どこまでも続いていくように見える。
緑豊かで、風が吹くたび木の葉がこすり合わされる音が聞こえ、癒される。
マイナスイオン効果、というものだろうか。
少し心の奥のモヤモヤが薄れた気がした。
「…今回のこと、私は青山君を誉めたいと思うよ」
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