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私の突然の呟きに青山君は驚き、コーヒーを落としそうになる。
「えっ!?な、な、何でですか!?僕こんなに皆さんに迷惑をかけたのに…!」
基本クライアントとのやり取りはメールにて行っているが、先方のパソコンが壊れた上に、都合でデザインの確認を今日中に済ませたい、ということで最終版を直接届けることになった。
クライアントは昔からのお得意様であり、青山君は入社半年の新人だけど以前伺った際に同行してもらったので、彼一人で大丈夫だろうと判断した。
ところがその青山君、目的地付近の歩道の真ん中にしゃがみ込んだおばあちゃんを発見。聞けば道に迷って疲れてしまったとのこと。
おばあちゃんを歩道の端に誘導し、スマホで道順を確認している間に、クライアントに届ける封筒や財布などが入った鞄を、自転車の男にひったくられてしまった。
そして、驚いて慌てている間におばあちゃんもいなくなったという…。
「青山君は人助けをしたわけだし。まぁ、そのおばあちゃんひったくり犯の仲間だったけど、そんなのわからないから」
項垂れる青山君。
「それに、ひとりで何とかしようとせず、すぐに会社に連絡した事。これがよかった」
連絡を受けた私は先方と現地の交番への連絡、ひとまず印刷したデザイン画を持ってクライアントの元へ向かった。
青山君の証言から見回りをしてくれたお巡りさんが、現場から少し離れた公園で青山君の鞄を物色していた若い男女のカップルを発見、確保となった。
女性はお年寄りに変装していたらしい。
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