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5.浮気現場
次は船木という青年だった。
「船木さんは……。彼女の部屋に残した手紙だったね? よし行こうか」
ガイドの案内で俺たちは小綺麗なマンションの前に来た。船木さんの彼女が住んでいるマンションだ。
実は俺は、先ほどから違和感を感じていた。船木さんの様子がおかしいのだ。俯き加減で貧乏ゆすりをしていて落ち着かない感じがする。
若いから、死んだことを受け入れられないのはわかるが、それにしてもあからさまに苛立っているのがわかる。
「彼女さんの部屋は4階だね。じゃあ、入ろうか」
ガイドが声をかけ、二人は浮かんで行った。皆もあとからゆっくり上がっていったが、俺は船木さんの様子が気になり、急いで後を追った。
ガイドと船木さんはマンションのべランダを通り抜け、窓を通り抜けて部屋に入る。すると……。
ソファで男女が激しく口づけを交わしている最中だった。
「やっぱり! 琴美、浮気してたんだな」
怒りに震える船木さんが、二人の方に駆け寄った。
「きゃーー! あ……あっくん」
船木さんの姿は見えないはずなのに、なぜか船木さんの彼女は船木さんの気配に気付き、そして船木さんの姿を目撃したようだ。
「どうした? 琴美ちゃん?」
相手の男が彼女に尋ねる。
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