2.誓約書

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2.誓約書

   現世に忘れものを取りに戻るに当たって、誓約書に持ち帰る品名と、承諾のサインを書かされた。誓約書の文言は次のようなものだった。 一. 申告した品物以外は持ち出さない。 二. 現世に生きる人を傷つけない。 三. 一、二を破った場合は厳重な処罰を受けることを了承する。  これにサインをした者は、四人一組となって、ガイドとやらを待った。  やがて、俺たちの組には、黒地にオレンジの彼岸花の模様の着物を着た30代位の女がやってきた。 「この組を担当するガイドです」  色白で一重の切長の目、長い髪は後ろでまとめられ、朱色の口紅が鮮やかで、小股が切れ上がったいい女という感じだ。 「すっごい、いい女ですね」  思わず俺は隣の老人に囁いた。  その老人は、他の皆が思い思いの洋服に着替えているのに、死装束姿のままだった。棺に着替えを入れてもらえなかったということか……。 「え? そう? わたしには老婆に見えるがね」  老人が答える。  すると、ガイドの女が俺たちの方をキッと睨んだ。
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