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うっかりミスもを許さない厳しい家政夫ラウリ。そんな外道鬼畜なラウリに言い返せずにいる私にヨルン様が青い顔をしていることに気づいた。
「アリーチェ、自分の寝室に男を入れているのか!」
「入らないと掃除できない」
「えっと、ラウリは綺麗に部屋を隅々まで掃除してくれますよ」
なにか問題でもあっただろうか。
完璧主義なラウリのおかげで、ベッドカバーやシーツからは石鹸の香りとお日様の匂いがする。私のふかふかベッドは毎日の安眠を約束してくれて、寝起きも最高に……ならず、もっと眠っていたいと思うのにラウリは朝食の時間になるとキッチリ起こしに来る。
乙女の寝室に大胆にも侵入して、フライパンを叩いて起こすという鬼畜ぶり。朝の目覚めはラウリの白エプロンと三角巾とともにある。
「わかったよ、アリーチェ」
「よかった! ヨルン様、ラウリが優秀な家政夫だってわかってくれましたか?」
やっとヨルン様にもラウリの熱心な仕事ぶりが伝わったようで、ホッと胸をなで下ろした。これで、ラウリと離ればなれにならずにすむ。
「今すぐ出ていってもらおう」
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