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私の服装で他の少女と違うところがあるとするならば、黒のマントとフードくらいで、ドレスは普通のプリントドレスでこの町の少女達が着ているのとなんら変わりなく、むしろ仕事柄センスを大事にしたいと流行を意識した色や柄を選んで着ているほどだった。
今日は親しみを持ってもらおうと可愛らしいピンクの小花柄のドレスを選び、ヘーゼルナッツ色のブーツと手に木製の籠を持ち、まだ染めてない生成り色の余り布にイチゴの実と葉の刺繍を入れた籠のカバー。
森の乙女スタイルの私はどこからどうみても普通の少女。
確かに目を黒いフードで隠しているけど、そこはちょっと譲れない事情がある。
気を取り直して、ちょうど大通りで遊んでいた町の子供達に微笑んで見せた。けれど、私が笑顔を作ったとたん、子供達は蜘蛛の子を散らしたかのように逃げて行ってしまった。
仕方ないので、道に寝そべっている犬と友好を深めようと近づけば、不審者と間違えられて吠えられ、唸られる始末。
現実を目の当たりしてショックを受けていると、逃げた子供達は遠く離れた場所で声を張り上げた。
「ぎゃー! 魔女だー!」
「誘拐されるぞ!」
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