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私は町の子供達から本気で怖がられているようで、家のドアを閉め、窓から目だけを覗かせ様子をうかがう子供までいる。
「どうしてなの……」
遠すぎる私と町の人達との距離。人と人の距離感が親しさによって違うというのなら、この遠さは知り合いどころかよそ者か赤の他人。
『いいお天気ね』
『ええ、今日はちょっとお買い物に来たの』
なんて気軽な会話を町の人達と交わすのが私の夢なのにっ!
こんなっ、こんな扱いっ……魔女じゃないのに魔女だなんてひどすぎるっ!
泣きそうになった顔はちょうどフードで隠れたけれど、がっくり落ちた肩は隠せない。
「挨拶すらできないなんて寂しすぎる」
とぼとぼと町の通りを歩く私は染物師アリーチェ、十六歳彼氏募集中。
彼氏募集中(ここ大事)十六年歴の私は黒いマントとフードをかぶった怪しげな女として、町で噂になっているようだった。
私が引っ越してきた時は好奇心と物珍しさからか、森へ様子を見にやって来る人もいたけれど、畑や庭を見て雑草や虫を好んでいると町のみなさんに勘違いされたのがいけなかった。
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