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仕事柄、人が雑草と思うものも必要な素材だってことを理解してもらえなかったのは悲しい。虫を嬉しそうに育てるただの変人、もしくは雑草の中で笑顔を浮かべる奇人という印象を植え付けてしまった。
私のほうは町のみなさんと仲良くしたい気持ちでいっぱいなのに私の気持ちはいつも一方通行、報われぬ片思い。
「魔女じゃないのに……誤解なのに……」
歩いていると、道に鳩達が集まっているのが見えた。ポケットに入っていたパンのかけらを鳩にあげようと思いつき、スッと手を差し出すと鳩達は私の手を避けるようにして、一斉に飛び去って行く。
平和の象徴である白き鳩にまで避けられ、さすがに涙がこぼれた。
「最強アイテム、パンのかけらがあったのに逃げられるとか……」
もしかして、この木の籠が悪かったのだろうか。
手に木の籠を持っているから魔女っぽく思われているのかもしれない。
でも、籠の中身は安全そのもので、町の人達に害を為すようなものは一切入っていない。
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