贈り物

6/8
前へ
/26ページ
次へ
 5  一ヶ月後、三家族から報告があった。  問題の学生は、プレゼントをした後、数週間もせずに引っ越しをした。  蛇公に相談をしてからすぐ怪奇現象も止んで、娘たちの体調も良くなった。  蛇公を怪しんでしまった謝罪と解決してくれたお礼をしたい。しかし、連絡手段がないため、どうしようもない……、等々。  それを蛇公に報告しようとしたが、私も連絡手段がない為、偶然居酒屋で会うことを期待するしかない。 「興味深いね」  私はいつもの居酒屋で、U氏と共通の友人のS氏にそんな話をした。  氏は前のめりになって話を聞いていたが、終わると満足といった具合で息をついた。 「蛇公って人にも会いたいな。普通なら連絡手段くらい教えてくれても良いのに」 「本当です。でも、誰にもそうらしいんですよ。何かあったら店主に言ってくれって常に間接的らしくて」  私の話を信じてくれたらしい。氏は「残念だあ」と心の底から呟いた。 「詳しく話を聞きたかったのに」 「私もです。ですが、話すのを嫌がっていたようなんですよ」 「それだよ。そこが気になる。すぐに原因を見抜ける程の彼がどうして嫌がるのか。きっと知っているんだよ」  氏はそう言って、私の話をメモした手帳を見つめている。 「ちょっと調べてみようかな。学校も知っているし、ここの問題に関わった人たちも知らない人じゃ無い」 「え、それは大丈夫なんですか?」 「分からないよ。分からないから調べてみたいんだ。教えてくれてありがとう」  氏はそう言って満足そうに手帳を閉じた。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加