呪詛

1/6
13人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ

呪詛

    1 【事件概要】  A県にて。佐藤シズコ。精神性ショック死。  顔に爪で引っ掻いたような痕が複数箇所。腹部からマチ針が数本検出。  虐待が疑われるが家族(皮田(とも)()(三十八歳)・皮田(しゅん)()(三十三際)・皮田美樹(八歳)皮田()()(一歳))は否定。  病歴。統合失調症。  以下、相談内容。激しい自虐行為。自身の右手首と腹を血が出るほど引っ掻く。針を刺す。娘たちへの加害行為。 「赤ん坊が私を責める」 「私じゃない」  幻聴・幻覚による錯乱は夜に多い。  ■ ■ ■ 「資料。ココに届けられるってことは、自死でも、殺害でもなく超常現象での死因が疑われているってことッスよね?」  と呟くのは藤原の部下、二三(ふたみ) (かず)である。若くしてその抜きん出た能力で引き抜かれ……というのは言葉が綺麗すぎるだろう。  霊感は、第六感、虫の知らせとも言う。  人間が持つ能力の一つで家族の事故を言い当てれば、有名なところで言うなら幽霊が見える、そういったところだ。この二三という齢二十八になる男もそういった所で面倒ごとを起こしてはココに配属された。  二三の意見を聞きながら藤原は資料を指す。 「ちゃんと見ろよ、二三ちゃん。理由としては家族からの証言と及び実際調査中での現象によるもの。ほらな、十分だろ?」 「十分なンスかねエ」  そう言いながらも、二三はしっかり出かける準備をしている。 「記録するんだからな。遊びに行くんじゃないんだぞ」 「はあい。分かってるッスよ?」
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!