第十七章 ライバル出現

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俺も結婚して美希の妊娠も公表したので、まさか恋人に振られたご令嬢が今更、当時の話を持ち出してくるなんて想像もつかない事だった。 今村不動産ご令嬢、今村麗子、二十三歳。 「蓮様、お久しぶりです、麗子です」 「ああ、麗子、久しぶり、親父の葬儀の時はありがとうな」 「いいえ、お役に立てなくてすみません」 「今日は仕事の事かな」 急に訪ねてきた彼女に俺は戸惑った。 はっきり言ってこのお嬢さんは苦手だ。 「麗子ね、恋人に振られたの、もう寂しくて、悲しくて、気分転換に、蓮様とデートしようと思って、いいでしょ、可愛い妹の頼み聞いて、ね、お願い」 このお嬢さんは万事この調子だ、まず自分を「麗子ね」と言う女は苦手だ。 それに俺はもう結婚してるし、父親になるのに、全くお構いなしなんだから困ったものだ。 取引先のお嬢さんだし、確かに妹みたいなもんだから、邪険にも出来ない。 まず、俺の悪いところは女性の頼みを断れないところだ。
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