第二章 強引な求愛

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この時、彼の真っ直ぐな気持ちに心が動き始めていたことに自分自身気づけなかった。 次の日の朝、目覚めると気分が良かった。 昨日あんなことがあって、仕事に行きたくなくなったら、どうしようって思ったが、ちょっとウキウキしている自分がいた。 いつもよりお化粧に時間をかけた、鏡の前で洋服を決めるのにこんなに迷ったことはない。 彼のキス、そして熱い抱擁を思い出すと、身体が熱くなるのを感じた。 彼の事を思うだけでドキドキする、出社して彼に会ったら心臓が飛び出してしまうかもしれないと思うと、恥ずかしくて彼の顔を見ることが出来ない。 でも会いたい、抱きしめてほしいって思ったのは嘘ではない、私の本当の気持ちである。 そんな事を考えていたら時間が過ぎてしまった。 「大変、遅刻しちゃう」 私は急いで会社に向かった。 「おはようございます、遅くなりました」 彼は不機嫌そうな表情で私を見つめた。 「遅い、迎えに行くところだったぞ」
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