第一章 俺様御曹司

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「蓮様、大丈夫ですか」 「ここはあの世か?」 「いいえ、蓮様は助かりました」 そう答えてくれたのは親父の秘書である東條だった。 まだ、頭がぼーっとする。 身体中も痛くて堪らない。 自分の手を顔の前に持っていき、両手がある事を確認した。 足は全く感覚が無い。 もしや、俺の足は無いのか? 急に悍ましい思いが脳裏を掠めた。 「おい、俺の足はちゃんとあるか?」 「大丈夫です、ちゃんとついてますよ」 東條はニッコリ微笑んで答えてくれた。 そこへ病室のドアがノックされた。 「蓮、生きてるか?」 そう言って病室に入ってきたのは、俺の悪友、望月楓だ。 「楓、縁起でもない事言うなよ」 「でも良かったな、お前は強運の持ち主だな」 俺は強運の持ち主じゃない、輸血を申し出てくれた女性がいなかったら、俺は今、ここにはいない。 「蓮様、事故現場にいらした女性はどなたですか?お付き合いされていた方でしょうか」 「事故現場にいた女性?俺はあの時一人だったはずだが……」 俺は全く身に覚えがなかった。
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