第一章 俺様御曹司

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「お前の会社、難しいらしいぞ、命の恩人の女性、大卒でお前の会社合格して経理部で勤務だろ、親父さんも優秀な社員だって言ってたじゃないか、しかも大卒で十三年勤務って、三十五だぞ、独身なら絶対に嫌なタイプだな」 「そうかな」 俺はこの時藤城美希に会いたくなった。 事故現場で身も知らずの俺に付き添い、輸血を申し出てくれた優しい心の持ち主なんじゃないかとすごく興味が湧いた。 程なくして俺は退院し、猛勉強を始めた。 でもその前にどうしても藤城美希の顔を見たかった。 親父の会社の受付で藤城美希を呼び出した。 「経理部の藤城美希さんとお会いしたいんですが……」 「失礼ですが、お名前をお願いします」 「望月楓です」 この時本名名乗る訳に行かず、望月の名前を拝借した。 「少々お待ち下さい」 「受付ですが、経理の藤城美希さんにお客様です、望月楓様とおっしゃる男性の方ですが」 「ただいま降りて参りますので」
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