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俺は顔を見せるわけに行かず、ビルの外で隠れていた。
受付で何やら話をして、ビルの自動ドアが開き一人の女性が現れた。
俺は思っていた印象とは真逆の彼女の姿に呆然と立ち尽くした。
優秀な社員、大卒のエリート、三十五の独身。
全然違う、望月は三十五まで独身なら、嫌なタイプだと言っていたが、とんでもない。
優しい表情、三十五とは思えない可愛らしさ、控えめな雰囲気。
俺は一目で心惹かれた。
絶対に話してみたいと、強い欲求が俺を本気にさせた。
俺は望月の名を借り、思い切って彼女の前に姿を現した。
「失礼ですが、藤城美希さんですよね」
彼女は振り向くと俺の顔を見て、軽く会釈をした。
「あのう、大変失礼ですが、どちらの望月さんでしょうか」
「あ、すみません、人違いでした」
「いえ、大丈夫ですよ」
俺はじっと彼女を見つめた。
彼女は恥ずかしそうに俯いた。
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