第一章 俺様御曹司

7/20
前へ
/272ページ
次へ
「あのう、この会社に藤城美希は私一人ですが、似た名前の方ならいますので、お呼びしましょうか」 そう言ってビルへ俺を誘導しようとした。 俺は慌てて「大丈夫です、俺の勘違いでした、失礼します」と言ってその場を後にした。 彼女はいつまでも俺の後ろ姿を見送ってくれていた。 その彼女の姿がずっと脳裏から離れなかった。 俺は望月を呼び出した。 「彼女に会った」 「えっ、親父さんの言いつけ破ったのか」 「いや、お前の名前を借りた」 「はあ?どう言う事だ」 望月はムッとした表情になった。 「お前の名前で彼女を呼び出した」 「親父さんの会社まで行ったのか」 「ああ」 「それで会えたのか」 「会えた、俺、彼女に惚れた、結婚する」 望月は絶句した。 「おい、話が飛躍しすぎだろう、彼女はお前を俺だと思ってるんだよな」 「そこまで、印象づけていないよ」
/272ページ

最初のコメントを投稿しよう!

553人が本棚に入れています
本棚に追加