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「どういうことかしら?」
夫人は淡々と言った。「夫が学生に性的なことをしたのが悪いの?」と言いたげだ。
けれど、東堂さんは他の言葉も用意していた。「イヤらしいこと」というのが心に響かないのであれば、
「只のセクハラではありません。そ、その・・」と言いかけ、言い淀んだ。
横で息子がニヤニヤ笑っているからだ。東堂さんの口からどんな言葉が出てくるかを楽しみにしているように見えた。
「その・・何なの?」
夫人は東堂さんの話の続きを促すように言った。
「それ以上のことをされたんです」
息子の目線が気になるが、この機会を逃せばお終いだ。東堂さんはそう言った。
「それ以上のことって?」
夫人はワザと訊いている。自分をからかっているのだ。東堂さんはそう思った。
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