ペディオフィリア

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女は恐怖で震えていた。 ほんの少し前までは、こうして手足をロープで縛り上げられるのも、そういうプレイなのだと勘違いしていた。そんなバカな自分を呪いながら、体中に走るヒリヒリとした痛みに耐えていた。口には猿轡(サルグツワ)をかまされているから声も出せない。そして、この部屋、このラブホテルはこの札舞市の片隅にある小さな古びたラブホテルであることもあり、従業員はフロントにいた老女一人だし、自分たち以外に他に客はいない。加えて昔ながらのラブホテルだから、部屋に防犯カメラもない。 必死に出す声も、猿轡のせいで声になっていない。出るのはその隙間から伝い落ちるよだれだけであった。 「ねぇ、“ペディオフィリア”って知ってる?」 目の前にいるその人に聞かれて、女は喋れないながらに知らないと答えた。それを見たその人は、まるで女を嘲笑するかのように笑って、「あぁ、そうか。君、喋れないんだったね」と言った。 その人はゆっくりと女の顔に顔を近付けて、「ねぇ、怖い?今から何されるかわかる?」と聞いた。その恐怖に女は大粒の涙を流す。声にならないが、助けてほしい、許してほしいと何度も叫んでいた。その人はそれまで不敵な笑みを浮かべていたのだが、騒ぐ女に苛立ったのか、その女の頬を鋭いナイフで切り付けた。またひとつ、痛みが増えた。猿轡をされていても悲鳴はあげられる。ただ、外には到底届かない。 「うるさいなー。黙らないと今度は刺すよ?」 そう言ってその人は血に濡れたそのナイフの切先を女の膝に突き立てた。ひんやりとしたものがチクリと膝に当たった瞬間、女は叫ぶのをやめる。そんな女が寝かされているベッドの足元を右へ左へ行ったり来たりしながら、その人は言った。
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