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「あ、一応さっきの“ペディオフィリア”の説明だけど、異常性癖のひとつでね。人形とかぬいぐるみみたいなものに対して性的興奮を覚える人のことなんだよね。それが例え君みたいなコスプレにも性的興奮を覚えちゃうんだ。だから、ついついこんな風にしちゃうんだよね」
その人は根っからのサディストのようであった。人をこれだけ傷付けて興奮するだなんて、猟奇的だとしか言えない。女の中では、目の前にいるその人に対しての恐怖心がどんどん肥大化していく。解放してほしい。このことは忘れるから、生かして帰してほしい______。そんな女にその人は首をかしげて女の顔を覗き込みながら、「逃げたい?」と問いかけた。女は激しく首を縦に振った。絶望の中に、希望が見えた。だが、その女に、その人はニヤニヤと笑って、「まぁ、逃さないんだけどさ」とまた女を絶望に突き落としたのである。
「だってさー。ここで君のこと逃しちゃったら、ここであったこと警察に絶対話すでしょ?そうなったら大変だ。君には顔見られちゃってるし、こんな怖くて痛いことしちゃったわけだからね。君が警察に駆け込まないわけがない」
女はそう言われるたび首を激しく横に振っていた。生きるためならそんなことをしないという自信がある。目の前のこの人が警察に捕まろうが捕まらなかろうが自分には関係ない。ただ、生きてこの状況を打開したい______。女はその一心であった。しかし、その願望すらも、その人によって無情にも崩されてしまう。
「君も薄々勘付いてるでしょ?自分がここで死ぬってこと」
女は絶望にまた涙した。
自分はここで殺される______。
逃げられない______。
どうにも抵抗できない______。
こうなれば、願うことすらも虚しい______。
だが、諦めたくない。死にたくない______。
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