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1話
「外行こーぜ、優生!」
「ちょ、重い!唯斗、離れて!」
いいなぁ・・・私も抱きつきたい。
「目線がきもい」
「うるさい」
じとーっと、じゃれている男子たちを見る。
「だってだって!私だってあんなふうに・・・!!」
「あーはいはいわかったわかった。彩乃は語りだすと止まんないんだから」
何を隠そう、わたくしこと木村彩乃は、神木優生のことが好きである。
「なんでよぅ・・・私もぎゅーってしたい・・・」
亜優菜に愚痴りながらため息をつく。
恋愛経験が乏しい私は好きな人との距離の縮め方がよくわからない。
話しかけようと努力はしているのだけれど・・・・・・。
「あーあ・・・男子になりたい・・・・・・」
今の一番の願い事。
男子になったら、あんなふうに抱きついたり、冗談ぽく告白だってできるのに・・・・・・。
「あんた陽キャっぽいんだからいつもみたいにぐいぐい行けばいいじゃん」
「出来たら苦労しないわ」
男子になりたい。
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