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アパートに住もうかと思います
母が私に言った。
「いいんじゃない」
──お父さんには私から先に言っとくよ、あとで話してみな。
祖母が私に言った。
「あぁそう、そっかそっか」
──寂しくなるけど心配はいらないよ。
嫁いでいった姉は、
「え、マジで? 大丈夫なの?」
──ご飯はどうなるの? おばあちゃんは平気なの?
片田舎で自営の飲食店を営む両親は、母屋から数分離れたお店に住み込んでいた。母屋のあれこれは祖母が、ご飯の支度は社会人になった姉がやるようになった。その姉が嫁いだあとは、妹の私が引き継ぎ、ご飯の支度をしていた。
祖父は数年前に亡くなり、兄は食事だけ済ますと自室に入り込む。母屋では実質、私と祖母の二人暮らしだった。
おばあちゃん子な私は、幼少時から祖母に育てられたも同然だったので、祖母を置いて家を出ることに大きな躊躇いがあった。
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