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しかし、乃里の千の物語は、まるで見ていたかのように、未来を書いている部分がある。それは、まるで事実を書いているようで、フィクションとは思えない。
「真兵は、自分が黒澤に攫われてしまう未来を知った」
「その前に、過去ループに逃げ込む?」
真兵は、失踪した事になったが、過去に存在しているのだろうか。
「いや、未来を見て来たように語っている」
これは、過去のループではない。
「ここが、過去なのではないのか????」
「時間軸がズレているからか??」
時間軸がズレているのならばループとも言い切れない。何か、そこに落とし穴があるのだろう。
「血痕は何だろう…………」
「それは、黒澤さんが用意したトリックではないのかな???」
黒澤も、その事に気付き、真兵の所在を掴もうとした。
「黒澤さんが用意する前に、自分のトリックがあったとか???」
「そんな馬鹿な…………」
現に黒澤も、真兵を探している。あれは、嘘ではないだろう。
「未来が交差している????」
黒澤は、自分が用意しようとしたトリックが、既に在った事に驚く。そして、真兵の占いを、別の意味で理解した。そこに存在しているのは、未来なのだ。
「こんな事が、在り得るのか????」
「全くだ………………!!!!!!」
この物語に続きがあるのかと、残りを急いで読んでみると、現在とは全く違った内容が書かれていた。
「…………ここからは、別の物語のようだ」
「本当だな。付け足して書いたという感じがする」
真兵と武智は、海外に移住し、小さな医院を作り、死ぬまで一緒に暮らす。その途中で、養子も育て、その養子が医院を継ぐ。田舎町で、二人は周囲と折り合いをつけながら、必死に生きてゆく。
「ここに、乃里の存在はない」
「どうしてだ?????」
ここまでくると、実際はどうだったのか、分からなくなってきた。
「でも、真兵と武智が相思相愛だったと、乃里は知っていた?」
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