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ここで、又、振り出しに戻ると、瀧澤に惹かれているのか、竜を懐かしく思っているのか、自分でも分からないのだ。
「竜が、どうして俺と一緒にいるのか。それも、忘れてしまっている…………」
「竜王を得た竜は、最強なのだろう…………」
しかし、元々、水竜である竜は最強だ。
布団をリビングに運び込むと、食事を終えた瀧澤が、自分で敷いていた。
「少し、布団が小さいですか?」
「いや、大丈夫だよ」
瀧澤は、丁寧に布団を敷くと、皿も自分で洗っていた。そして、何故か乃里の千の物語を、片手に持って読みだした。
「水瀬君、お風呂に入ってくるといいよ。私は、シャワーを浴びてきたから」
「そうですか。では、行ってきます」
そして、風呂から出てリビングに行くと、塩家と瀧澤が、真剣に議論していた。
「この物語は、乃里さんの恋愛なのですか?」
「そうだと思うのですが…………」
しかし、乃里は自分の事は書いていない。
だが、それは千話目という約束だったので、変ではないだろう。すると、百五十三話にある、小さな女の子の物語も気になると、二人で盛り上がっていた。
「どんな物語ですか?」
「ヤバイ話しだよ。とある金持ちが、自分の憧れの女性と同じ人間を作ろうとする」
その女性に縁がある子供を引き取り、本人になるように育ててゆく。そして、成長した時に、悲劇が起きる。
「少女は同じように男を振り、男は逆上して少女を殺す」
憧れの女性も、男性を振ったのだ。
「そして、同じように隠す」
「同じように????」
オチとしては、そこには既に幾体もの死体がある。そして、奥底には憧れの女性だった死体が埋まっている。
「ホラーですね」
「実際に発生しているのかもね」
そして、瀧澤は武智と真兵の物語も読み、唸っていた。
「ここだけ、性描写がやたらとリアルだよね。それに、筆跡も少し違っている。もしかして、ここは真兵さんが書いたのではないのかな?」
「乃里に真実を伝えたのですか…………」
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