第十四章 君と千日の夏 四

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 だが、真兵はこの界で事故死なのか殺人なのかで、死んでしまう所だった。だから、魂だけではなく、弱った肉体も一緒に異界で融合した。 「入れ替わった魂だけは、この界で昇天した…………」  この界に肉体が無いので、もう真兵は戻って来る事が出来ない。だから、武智も異界に行った。二人の恋は、終わっていなかったのだ。 「…………海外に行き、二人は結婚する。そして田舎で医者をする…………それは偽りの未来ではなく、異界での本物………………」  無医村に行き、真兵は漁師をしながら家計を支える。二人は毎晩一緒に飲み、そしてベッドを共にする。 「栄光も、経歴も、武智には重荷だった……本当は、ただ患者の人生に寄り添い、一生を見届ける事が望みだった」  生と死と、人生に寄り添い、受け止めてゆく事が医師なのだと、武智は思っていたのだ。 「異界の武智は、栄光を求めていた。だから、互いに入れ替わる事に意味を感じた」  これは、永遠に続く恋の物語だったのかもしれない。真兵は死んでも武智に恋をして、魂まで結ばれる一生を選ぶ。 「…………これは、千の恋の物語」 「書いて欲しかったのは、自分の恋」  漁師になった真兵は、冬の海に漁に行く。その海は、いつもグレーの空の下にあり、強風が吹きつけていた。しかし、いつも大漁の魚が採れる。  家は武智の診療所に併設されていて、小さいが暖炉がある。武智の診療所は、器材は古いが、それなりの機能を持っていて、近隣からも患者が来ていた。 「こんなところに、続きが書かれていた…………」  異界に行ってしまった後では、真兵は書く事ができない。すると、この物語は、乃里が書いたのだろう。 「本当に…………女性が書いたのか???」 「微妙にエロい????」  漁師になった真兵の尻は、力仕事のせいか、いつもキュッと小さくまとまり、きつく締まっていた。そしていつも、まるで初めてのように、そこは念入りに解さないと開かない。しかも、気を抜くと、再び開いた双丘が元通りになり、奥の窄みも締まってしまう。  指で解そうにも、血が止まってしまいそうに狭く、とても入れられそうにないと感じる。しかし、酒を入れると、少し解れる。そこで、指を一気に三本入れ、そして閉まらない内に、自分のモノを押し込む。すると、その奥には、冬も忘れる程の熱がある。  そして、うねり蠢く内臓に、しっかりと男を咥えさせ、そして男を憶えさせる。すると、嘘のように蕩け始め、熱い夜が始まる。 「…………幸せそうだ」
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