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「目立つ!」
「何もしていなくても、目立つというのに…………」
やはり、塩家は人目を惹く。
俺は、塩家の中身を知っているので、外見が見えなくなっているのかもしれない。塩家は今も、群を抜いて整った姿をしていて、絵に描いたような、理想の王子様だ。これが祠堂になると、色気と艶が出てきて、爬虫類と称したくなってくる。そこが不思議なのだが、それも役なのだと言われれば、納得するしかない。
塩家はいつも、完璧に役を演じるのだ。
「……水瀬、凄い形相で俺を見つめるのはやめて…………気になる」
「見られる事には慣れているだろう」
しかし、俺に見られていると、喧嘩を売られている様で嫌だという。
「…………始めから、全部が繋がっていた」
「……………………そうだな。こんな小さな世界だから、繋がっていてもおかしくはないけど…………」
どうも、黒澤の実験に巻き込まれているようで腹立たしい。
「到着した」
「煎餅も食べ終った」
俺は駅で降りると、構内で販売していた弁当を購入した。すると、不思議そうに、塩家が弁当を見ていた。
「美味しいのか?ここの弁当」
「普通の味がする」
この駅で売られている弁当は、近所の総菜屋が出しているものだ。しかし、ここでは販売していないので、弁当を買うとなると難しい。だが、たまに、構内で販売してくれるのだ。
「ここの総菜、母が作っていた料理の味に似ている」
「俺も買って来よう」
塩家と弁当を買って家に戻ると、急に腹が減ってしまった。そこで、弁当を食べ始めた。
「最初の依頼、倉繁と野々村、おいていけと声が聞こえた件。これは、一ヵ月くらい前の出来事だ」
だから、最初は繋がっていないと思っていた。一ヵ月前となると、乃里は眠っていたし、真兵は失踪していた。
「真兵がいなくなったのは、約一年前……」
「乃里が眠ったのも、約一年前」
ここは、関連があるだろう。そして、黒澤は乃里を目覚めさせようとした。
「黒澤さんは、何故、今、乃里を目覚めさせようとした?」
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