信じた物に巣食われる!?~カルト宗教潜入体験レポート2~

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まえがき  本書は、以前書いた「信じる人々」に続く、カルト宗教団体潜入体験レポート本の第2弾である。前回に続き、全て体を張って体験した実話である。此の本を通じて、カルトに出くわした瞬間を追体験してみてほしい。今回は宗教だけではなく、スピリチュアル系の団体や個人に引っ掛かった体験も書いた。  尚、筆者は元無神論者で、現在はプロテスタントのキリスト教徒である。 水野 松太朗 目次 まえがき ◎世界の偉人、池田大作!?(創価学会) ◎フードコートで折伏!(創価学会) ◎公園の中心で純潔を叫ぶ!(統一協会) ◎悪魔が来りて鍋を突く!(ヨハン早稲田キリスト教会) ◎「撲殺天使」がいる「神の真の教会」!?(全能神教会) ◎タカりっス!(崇教真光) ◎飲食厳禁カフェ!(浄土真宗親鸞会) ◎3日掛かりの地区大会!(エホバの証人) ◎役所で回し読みされてる怪し~い新聞(新生佛教教団) ◎え~か~!?い~わ~!?(モルモン教) ◎路上で本に埋もれる!(クリシュナ意識国際協会) ◎割り込み「にをいがけ」!(天理教) ◎怒号塗れの朝礼!(倫理研究所) ◎毎朝毎朝早々と…(実践倫理宏正会) ◎(自称)超高学歴トップエリート集団!(無教会主義集会) ◎除霊1回50000円!(心の整体) ◎宵の口の宗教爺さん(立花隆信者) あとがき ◎世界の偉人、池田大作!?(創価学会)  近所の大学で、大学祭が開かれていた。筆者は学術研究系のイヴェントや展示、社会系・ヴォランティア系サークルの展示・発表、そして模擬店の飯(特に留学生グループの民族料理は、中国の水餃子、韓国のチゲ、タイのパッタイ、ヴェトナムの生春巻き等、非常に美味い事が多い)等が好きで、大学祭の類には時間が許す限り足を運んでいる。  其処で、「ヒューマンレボリューション」なるサークルが「世界の偉人展」という催しを開いていた。何だろう?と思い、覗いてみる事にする。足を踏み入れてみると、人数はまばら。サークル関係者と思しき人が入口に座っている。受付を済ませ、展示を見てみる事とする。  「世界の偉人」として挙げられていたのは3人。先ずはチャールズ・チャップリン。言わずと知れた喜劇王。「モダンタイムス」「独裁者」「殺人狂時代」「ニューヨークの王様」等、風刺や社会的メッセージを込めた作品でも名高い。うむ、確かに偉人だな。  続いて周恩来。毛沢東国家主席の側近で、中国首相を務め、日中国交正常化を実現。毛と共に文化大革命を推進。偉人…かなぁ?  そして池田大作。創価学会の掲げる「平和・教育・文化」の運動に邁進し、世界各国から名誉博士号を授与されている。…偉人、かぁ!?  其処で初めて此の展示をしているサークルが創価学会のダミーサークルであると気付く。そう言えば「ヒューマンレボリューション」って、直訳すると「人間革命」、池田の著書のタイトルにもなっとる創価学会のスローガンやんけ!  チャップリンは世界が認めた喜劇王、周恩来は賛否両論はあろうが中国政治のトップに君臨した人物。其れに比べて池田大作、信者数は多いとはいえ一宗教団体のトップに過ぎない。何か前の2人に比べて功績が随分しょぼくねーか???著名な人物と池田を並べる事によって池田を大きく見せる魂胆は見え見えだが、却って池田が非常に小物に見えて逆効果だと思うのだが…。  展示室に使われていた講義室では、創価学会信者と思しき学生が友人と思しき学生を捕まえて、「久本雅美や岸本加世子等、一流の有名人はみんな創価学会に入ってるんだよ~。だからお前も入らなきゃ駄目なんだよ~」等と熱く語っていた。いやいやいや、悪いが久本マチャミって一流って言えるか???確かに有名ではあるかもしれんが、下品・下劣・低俗・俗悪な芸風からアンチも非常に多いぞ???此が創価学会独特の布教方法「折伏」って奴か。然し此んなんで本当に相手を説得出来ると思ってんのかなぁ…。少なくともオイラの心はほんの少しも動かんぞ。其れに好きな有名人・芸能人が創価学会員だからといって、自分も入るかと言われれば其れは又別の話という物。  布教活動の為の「蟻地獄」として据え置かれた、内容の極めて薄い展示会を後にする。布教を目的としてるんなら、少しは気合の入った物を用意せんかい!まあ、余り気合の入った物を用意されて、カルトに入信する人が増えれば、其れは其れで又非常に問題があるのではあるのだが…。 ◎フードコートで折伏!(創価学会)  筆者が近所のスーパーのフードコートで軽食を取っていると、突然三井理峯(東京都知事選をはじめ、各種選挙に出馬した著名な泡沫候補。主著に「我は平民」。合言葉は「にしんを食べると怒らない」)そっくりの老齢の女性がズカズカ近付いてきて、何かの文書のコピーをテーブルにバンッ!と叩き付け、 「此っ!良い事書いてあるからっ!今直ぐ読んで信仰しなさいっ!」 と叫んできた。「何が起きたんだ!?」と呆気に取られるが、文書を見ると「大百蓮華」と書いてある。此は!創価学会婦人部の機関誌の記事のコピーではないか!カルト観察家として急にワクワクしてきた。然し食事中という事もあり、 「あ、はい。分かりました」 と答えて、取り敢えず一旦鞄にしまう。すると、 「しまうんじゃなくってっ!読んで信仰しろって言ってんでしょーっ!」 と耳元で絶叫する老婆。恐ろしい…。  食事を終え、記事を読んでみると、 「大病を患っていたが、毎日必死に『南無妙法蓮華経』の題目を唱える事によって治った」 「以前他のカルト宗教団体に入信していたが、創価学会に入ってカルトから脱却出来た」 等、新興宗教やカルトにありがちな「信仰で病気が治った」「カルトから脱却出来た」の信仰体験談。創価学会と対立してる冨士大石寺顕正会の「顕正新聞」にも似た様な信仰体験談が書いてあったぞ…。本当カルトはワンパターンだなぁ…。しかも「カルトから脱却出来た」って、新たに入った此の団体もカルトだぞ…。  然し街頭等の公共スペースでは兎も角、スーパー等の商業施設内での布教活動は流石に問題なんじゃないか?と思い、警備員に報告しようとスーパーの入口に行ってみると、さっきの老婆と警備員が楽しそうに談笑する姿が。此のスーパーもグルかーいっ!!!orz ◎公園の中心で純潔を叫ぶ!(統一協会)  筆者が近所の図書館で本を借りて出た処、隣の公園で人だかりが出来ていた。幟も大量に掲げられており、何の集会か興味を持った。幟をよく見ると、「世界平和女性連合」「世界平和青年連合」…こ、此はっ!!!統一協会の集会だぁ~っ!!!  統一協会のダミー団体の多くは、「世界」「平和」と名の付く物が矢鱈多い。拙著「信じる人々」で筆者が対峙した世界平和女性連合は言うに及ばず、世界平和青年学生連合、世界平和連合、世界平和宗教連合、世界平和教授アカデミー、世界日報、世界反共連盟、平和大使協議会、天宙平和連合、平和統一連合等々…。統一協会の現在の正式名称である「世界平和統一家庭連合」も、元はダミー団体が名乗っていた物である。漫画制作等で活躍するペンタブレットで有名なワコム(Wacom)も統一協会信者が資金稼ぎの為に設立した企業で、「ワ」に入る「W」は「World」(世界)の意味だという。尚、現在のワコムは創業者が退職し、統一協会との関係は切れているという。其にしても、「世界」も「平和」も元々は良い意味の言葉なのに、今は統一協会の活動に使われて胡散臭いイメージとなっているのは非常に残念である。  どんな内容か遠巻きに見てみる。どうやら、「純潔」がテーマらしい。統一協会は純潔という言葉が大好きで、此の言葉を使って信者に対して合同結婚式以外での結婚や恋愛を禁止し、更にはポルノ観賞等も禁止するという、非常に歪んだ禁欲主義を押し付けている。若い男性が壇上に立つ。 「私はァっ!嘗てェっ!マスターベーションをォっ!していた罪をォっ!告白しまァーすっ!もうゥっ!2度とォっ!致しませェーんっ!此からはァっ!純潔をォっ!固くゥっ!守りまァーすっ!」  ひえ~っ!此んな事迄公衆の面前で告白させられるんかぁっ!?此んなもん完全に公開処刑だろ!?余りの出来事に恐怖を感じ、観察を打ち切って逃げる様に自宅へ帰った。  性的な事柄という物は、個人にとって最も守られなければならないプライヴァシーの1つであり、其を多くの人のいる場で告白させ、吊し上げ、晒し物にして糾弾する等という事は絶対にあってはならない。統一協会の「純潔」活動は、明らかな人権侵害である。  此等の様な人権侵害は勿論、霊感商法等による経済的被害も多く及ぼしている統一協会が、宗教法人法によって保護されるべき集団ではない事は明白であろう。にも拘らず、自民党をはじめとする多くの保守・右派系政治家や、保守・右派系芸能人・文化人・知識人が統一協会を「信教の自由を守れ」等というレトリックで擁護するのは万死に値する事であり、断じて許してはならない。 ◎悪魔が来りて鍋を突く!(ヨハン早稲田キリスト教会)  近所の大学で、「プロミュージシャンによるゴスペルコンサート」という告知の看板が掲示されていた。筆者はクリスチャンという事もあり、其のコンサートに非常に興味を持ち、行く事にした。  学生会館のホールで開催されたコンサートは、聴衆は自分を含めて10人前後。スタッフは学生と思しき若者が中心。ステージには、20代位の若い男性。彼が今回目玉の「プロ歌手」なのだろう。コーラスはおらず、音楽はCDによるカラオケである。コンサートが始まると、早速違和感を覚える。歌手の歌がかなり下手なのだ。CDの音を必死で追いながら声を出してるという感じで、歌ってるという感じには聞こえなかった。タ行とザ行が拗音(チャ、ジャ等)になるのも気になった。歌われていた楽曲は「君は愛されるため生まれた」等、韓国で人気のあるワーシップソングが多く、「若しかして此の歌手、韓国系の人かな?」と思った。然し日本より厳しいとも言われる韓国芸能界が、こんな下手な人をプロデビューさせるってのも考え難いし、どんどん怪しく思えてきたのである…。  コンサートが終わった後、 「夜、教会で鍋パーティをやるので来て下さい!」 と告知があった。あ~、此って伝道集会だったのか。然し主催にちゃんと「教会」って出さないのも何だかなぁ。こうなると、寧ろカルト観察家としての心に火が点いてワクワクしてきたので、当然鍋パーティにも参加する事にした。指定された場所は大学から随分離れた市内中心部のタワーマンションの一室。地図を片手にパーティ会場へ向かった。  会場となってるマンションの一室は、入口には十字架が。インターホンを押し、 「昼のゴスペルコンサートに参加し、夜の鍋パーティに誘われたので来ました」 と告げると、中に通された。中を少しチラチラ見ると、壁に十字架があり、奥には講壇みたいな物が置いてある。普段は此処で礼拝も行われているのだろう。其して、既にキムチ鍋が作られていて、早めに来た、というより恐らく元々此の場にいた教会員なのであろう若者が鍋を突いていた。自分も指定された席に座り、鍋を食べ始める。  隣にいた男性信者と思しき若者に話し掛けられる。 「今回のゴスペルコンサートに興味を持った切っ掛けは?」 すかさず答える。 「あ、自分クリスチャンなんで、キリスト教関係の物は全般興味があるんですよ」 「えっ!?」 一瞬場が凍り付く。何か触れてはならない物に触れてしまった様な、そんな空気になった。隣の信者も一瞬固まった。然し固まりが解けると、 「別の教会に行ってるのに、何故此処に来たの?」 「自分は教会や教派を超えた取り組みが好きで、色んな教会の皆さんと交流するのが好きなんですよ」 と冷静に答える。すると、周囲も納得したのか、 「アーメン!感謝します!」 と叫び、表情も柔らかくなった。只1人だけを除いて。  年配の女性が1人、此方を物凄い形相で睨み付けていた。まるで悪魔の様な恐ろしい顔付きだ。彼女は鍋を食べる自分の耳元で、 「私の後に付いて来なさい!」 と言った。腕を掴まれたので、慌てて箸を置き、彼女に付いて行くと、入口前にドンッ!と突き飛ばされた。其して、 「私達はクリスチャンでない人達に伝道する為に、此の会を開いてるんだ!お前は既にクリスチャンだというなら、早く出て行け!」 と、韓国語訛りの片言の日本語で滅茶苦茶に怒鳴られた。自分はすかさず、 「貴方が牧師先生ですか?今のキリスト教会で超教派の集まりなんて普通だと思いますけど。其に、日本のクリスチャン人口は少ないんですから、互いの教会が協力し合って伝道しないと…」 と反論する。然し、 「五月蝿い!私達はそんな事は一切認めていない!お前がクリスチャンだというなら、自分の教会に行ってれば良いだろ!私達の邪魔をするな!今直ぐ出て行け!」 と、再び無茶苦茶怒鳴られる。自分は、 「荷物を取ってから帰りたい」 と食い下がって何とか会堂内に入れてもらい、教会の信者達には、 「急用が出来たから今日は帰る」 と告げて、帰る事にした。  帰り掛けに、事の顛末を所属教会の牧師に報告した。牧師は、 「教理が正統だと謳ってても、組織的にカルト化してる教会もあるからねぇ。余り過激な言動をする教会には近付かない方が良いだろうね」 とアドヴァイスをくれた。  彼等の正体は、ヨハン早稲田キリスト教会。1988年に、ウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会の韓国部として始まり、1995年10月にキム・ギュドン(金圭東)を主管牧師としてヨハン早稲田教会として独立。「ヨハン」はキリスト教の聖人ヨハネではなく、淀橋の「淀」と韓国の「韓」を合わせた「淀韓」をハングル読みした物である。各地で大学を中心に「ゴスペル愛好会」等の偽装サークルを立ち上げ、自らの実態を隠して布教活動に勤しんでいる。  1999年5月には、明治大学の偽装サークル「明大ゴスペル愛好会」が新左翼セクトの1つ「革命的労働者協会(社会党社青同解放派)」(革労協)に襲撃されるも、返り討ちにし、警察に突き出すという武闘派な行為に及んでおり、此の出来事は革労協が、教会との徹底抗戦を主張する主流派(現代社、狭間派)と、教会との闘争をやめて事態の鎮静化を図ろうとする反主流派(赤砦社、木元派)に分裂する切っ掛けとなった。特に木元派側は、代表の山田茂樹(通称「木元」)がゴスペル愛好会代表者と手打ちをするという、殺人事件迄起こした事もある武闘派・過激派の新左翼とは思えない程の非常に情けない行動に出ており、共産趣味界隈を大いに賑わせた。  其の後、2006年に保守派プロテスタントの連合団体「日本福音同盟」(JEA)に加盟し、自らの権威付けを図るが、2014年にキムによる常習的なセクハラ、暴行、傷害行為が告発される。教会は事態の鎮静化を図るべく、キムに彼が要求する分だけの退職金を払って依願退職させた。更に、副牧師のリュウ・ジュンフン(柳廷勲)が他の牧師や信者に対し木刀で暴力を加えていた事件が発覚し、此等の事から、日本福音同盟は2015年に離脱となった。全国各地にあった枝教会(系列教会)も「ヨハン」の名称を隠さざるを得なくなり、多くは事件発覚後に教会名を変更している。  統一協会、エホバの証人(ものみの塔)、モルモン教等、教義があからさまに異端で、行動もカルト的な所は分かり易いが、此処の様に正統な教義の教会から枝分かれしたものの、組織的にはカルト化している所もある。宗教に近付くには注意が必要である。  然し、彼等が布教に使ってた下手糞な「プロミュージシャン」って、若しかして「芸能界で活動している」という意味でなく、「教会から給金を得て活動している」という意味か?昔で言う「教会音楽家」の物凄くしょぼい奴?せめてもう少し練習しろよ…。こういう処で平気で嘘をつくから、矢張カルトなんだよなぁ。orz ◎「撲殺天使」がいる「神の真の教会」!?(全能神教会)  SNS「フェイスブック」を利用していると、様々なイヴェント案内を見る事が出来る。筆者も興味のあるイヴェントに参加する為に頻繁に利用しているのだが、時々「聖書の無料勉強会」「讃美歌を聴く会」等のイヴェントが現れる事がある。其がキリスト教関係のグループで立ち上げられているなら然程違和感は無いのだが、此等のイヴェントは決まって政治系・社会系の、宗教とは全く無関係なグループで立ち上げられているのである。  市民運動系のグループを立ち上げている知人から、「宗教系イヴェントの案内が頻繁に立てられて困ってる。イヴェント主催者にメッセージを送っても全然改善されない。自分達は宗教とは無関係なので非常に迷惑」と相談を受けた。其の人には「相手がやってる事はスパム投稿なので、アクセス禁止して、グループのメンバーから追放してしまって構わない」とアドヴァイスを送ると共に、此のスパムの出所がどんな所か探りを入れてみる事とした。  彼等のイヴェントページを開き、イヴェント参加のURLをクリックすると、彼等が運営するチャットサイトに飛ぶ様になっていた。其処でいきなり、「貴方はクリスチャンですか?」と聞かれる。筆者は一応クリスチャンなので、「はい」と答える。すると、続けて「聖書の勉強をしたいですか?」と答える。此にも「はい」と答えると、新たなURLが貼られる。其をクリックすると、キリスト教風味の怪しいサイトに飛んだ。色々調べてみると、全能神教会の物だと判明した。  全能神教会は、中国人の趙維山が1989年に設立した「永源教会」を源流とする。永源教会は中国当局に摘発されたので趙は逃亡し、93年頃から全能神教会を名乗って活動を始める。全能神の教理は、「再臨のキリストは中国にいる揚向彬という女性」という物であり、中国共産党を打倒し神の国を建設する事が教会の目標である。入信すると信者には金銭が支払われる為、勢力を拡大しているという。又、教会内の結束力は固く、一度入信すると脱会は難しいという。  既存のキリスト教会からは、中国国内で活動している所も含めて全能神を異端と断じている。又、中国共産党も「邪教」と主張している。一方、反共主義者の中には、反中国を掲げて活動している事から、全能神を擁護すべきとの主張もある。此は宛ら、反社会的活動に手を染めつつ、全能神と同じく反共主義を掲げて政界に取り入っている統一協会等への擁護論に似ている。  2012年には人類滅亡説を流布して、多くの逮捕者が出た。更に、2014年には中国国内のマクドナルドで布教活動をしていた処、勧誘と電話番号の提供を拒否した女性を信者6人が椅子と鉄パイプで撲殺するという事件を起こした。事件の様子は目撃者により撮影され、画像はネットに流出している。ネットを探せば、頭から流血して倒れている女性の画像を見る事が出来る。イギリスBBCや日本のメディアでもニュースとなった。「店は客を見殺しにしたのか」という批判も出たが、信者達は店員や他の客を威嚇したり殴ったりなどし、とても被害者を助けられる状況ではなかったという。其の後、信者6人は逮捕され、主犯2人には2014年10月11日に死刑判決が下り、2015年2月2日に執行(処刑)された。  殺人迄犯してるトンデモなカルトに遭遇し驚愕するが、敢えて相手の懐に飛び込んでみようと試みる。チャットで、 「全能神って知ってますか?」 と聞くと、 「全能神は真の神の教会です!」 と返信が。すかさず、 「貴方達全能神って、人を殺してますよね?」 と入力。すると、 「そんなことがありません!」 と、片言の日本語で反論。其処で、マクドナルド撲殺事件の報道記事のURLを貼り、 「此が、貴方達が人殺しである証拠です」 と入力。すると、 「あれは中国共産党の捏造です」 と反論。其処で、 「報道記事はイギリスBBCの物で、中国共産党は絡んでませんけど?」 と入力。すると、相手からのメッセージはパッタリと止んだ。 「統一協会との関係は?」 等、続きのメッセージを入力するも、アクセス禁止状態となっており、メッセージのやり取りが出来なくなっていた。殺人事件の事実を認めた様な物である。  自分の所属教会の牧師に、「フェイスブック内で全能神という異端カルトが蠢いてるので、注意した方が良い」と連絡すると、「自分もフェイスブックで、クリスチャンを自称する人物から何人か接触があった。言動や様子がおかしいと思い、調べてみたら全員全能神の信者だった。教会全体で注意していく必要がある」と言われた。  何処ぞの「撲殺天使」の如く、「ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ~♪」等と唱えても、撲殺された被害者の命は戻ってこない。破壊的・反社会的カルトには十分注意が必要である。 ◎タカりっス!(崇教真光)  筆者は失業中の時、地域若者サポートステーション(サポステ)の指導・援助を受けていた。其の際、就職を目指す数人でグループを組み、様々な研修を受けていた。グループの中で、自分と同世代の女性が1人いたのだが、研修後に声を掛けられた。 「ねぇ水野くぅん、今度の月曜日って空いてるぅ?一寸一緒に御茶でも飲みに行かなぁい?」 なぬ?御デートの御誘いとな?彼女に対しては、恋愛感情等は全く抱いてなかったのだが、友人として話相手になるのは悪くない。其の誘いに乗る事にした。此が地獄への入口とは知らずに…。  月曜。昼過ぎに駅で待ち合わせをし、観光地のカフェにバスで向かう。カフェに入る時、彼女の鞄の口から雑誌「崇教眞光」が覗いていた。あ、此って若しや布教活動…。成程、其で女っ気が無くて冴えないオイラを態々御デートに誘ったという訳か…。早速彼女の思惑を知るも、此処は敢えて黙っておく。カルト観察家としては、彼女がどんな面をして布教してくるか見ものだ。相手の布教の腕前をとくと拝見と行こうではないか。  アイスティを飲み乍ら、他愛の無い話が続く…。いつ布教の話が出てくるんだ?とワクワクしながら待つが、相手は中々其の話を切り出さない。茶を飲み終えると、 「場所を変えなぁい?私ぃ、外で待ってるからぁ」 と、席を立って外に出てしまった。当然会計は済ませてない。此の侭自分も外に出たら、食い逃げになってしまう。渋々2人分の茶代を払い、外に出て、再びバスに乗る。 「私ぃ、ドーナツ食べたぁ~い」 と言われたので、バスで駅に戻り、ドーナツ屋に入る。彼女は凄まじい量のドーナツをトレーの上に乗せる。自分も2個程食べたいドーナツをトレーに乗せて会計に向かう。すると、 「此の2人分、会計一緒で!」 と言うと、レジを潜り抜け、直ぐに椅子に座ってしまった。仕方無く2人分のドーナツ代を払い、同じテーブルの椅子に座る。 「あの~、自分で飲み食いする分位はちゃんと自分で払ってもらわないと…」 「いいのいいの!後でどうにかするから!」 そっちは良くてもこっちは全然良くねーっ!彼女のルーズな金銭感覚に非常にイラついたが、此処で関係を絶ってしまってはカルト観察が出来なくなってしまう。落ち着いて落ち着いて…。  彼女はドーナツを、まるで飲む様な物凄い勢いでガツガツムシャムシャ食べていた。其の姿に圧倒されつつも、自分もドーナツをチマチマ摘まむ。自分が食べ終える前に全てのドーナツを食べ終えた彼女は、 「ねぇ水野君、私ねぇ、実はこういう所にいるんだけどぉ…」 と、鞄から雑誌「崇教眞光」を取り出して、自分に見せてきた。キターッ!遂に布教活動開始だ!其処で、雑誌をペラペラ捲り乍ら、 「ああ、宗教ですか。まあカルトでなければ良いんじゃないですか?自分もキリスト教ですし。何を信じようが個人の自由かと…」 と答える。すると、彼女の目がキラーンッ!と光り、喋りも勢いを増す。畳み掛ける様に、 「そうよねぇっ!神様って絶っっっっっっ対いるわよねぇっ!君とはみっちり信仰について語り合いたいわっ!今直ぐ一緒に道場に修行に来てっ!」 と、崇教真光の道場に移動を促される。あぶねーっ!身の危険を感じつつも、道場の中や修行の様子を見てみたいという思いもあり、一緒に道場に行く事とした。  道場は地域の集会所みたいな簡素な造りの建物。看板を見ないと、パッと見では宗教施設かどうか分からない造りになっている。中に入ると、先ずは応接室みたいな部屋に通される。其処には自分達より少し年上そうな女性がいた。地元の高校で体育教師をしているとの事である。  其の高校は、県庁放火事件で無期懲役となった右翼活動家(後に恩赦で出獄)が設立し、教育内容も非常に右翼的で、全ての教室には昭和天皇・香淳皇后夫妻の写真が貼られている他、模造の軍刀を身に着けて軍事パレードの様に行軍するというイヴェントも行なわれているという。寮では毎朝6時に日章旗掲揚と「君が代」斉唱が行なわれる等、寮生活も非常に厳しいという。其の独特の校風から、地元では受験生が1人もいない事で有名である。  部屋のソファに座ると、マクビティのチョコビスケットを出された。筆者がポリポリ食べていると、信者の2人はビスケットに手をかざし始めた。暫く手をかざした後に食べ、 「やっぱり手をかざすと、すっごく美味しくなるわよね~。神様の御蔭よね~」 と、何だか気持ち悪い事を言い始めた。そう、崇教真光は「手かざし系宗教」と呼ばれる物の1つで、「食物や土壌に手をかざすと、添加物や農薬等の有害物質が消滅し、健康的で美味しい食生活や農林漁業が出来る様になる。病気は体に手をかざす事で治る」というのが教義の核なのである。  更に、教師の女性は、「私ね、今の自分の職場に物凄く誇りを持ってるの!教育勅語を学校教育の基盤の言葉としてるし、崇教真光の推薦校だから、真光の子供達が全国各地から集まってくるの!私に関わった生徒全員を真光の子供達にするのが、私の夢なの!」とトンデモな言葉を吐いた。更に、「真光青年隊」と称する、独特のデザインの制服を着た真光信者の若者の団体の案内パンフレットを見せられた。成程、地元で誰1人受験しない学校なのに何処から受験生が来てたのかと思ったら、宗教で送り込まれてたのか…。そりゃ受験生が安定供給されて、絶対潰れんわなぁ。此の「青年隊」の制服も、真光信者にとっては誇りなのかなぁ。  教師の女性の話を聞き乍らビスケットを食べていると、いきなり知人の女性から、 「一寸!水野君、いつ迄食べてるの!今から修行に入るわよ!早く!」 と急かされ、速攻でビスケットを食べ終えて畳張りの部屋へと促された。柔道や剣道なんかが出来そうな、正に「道場」といった雰囲気の部屋だ。部屋の正面上方には、何やら独特のシンボルが掲げられており、其の向かって右側には、漆黒の大黒天像が鎮座している。周囲には、1人でシンボルに向かって手をかざしながら目を瞑って祈っている人や、2人1組で、1人はもう1人に手をかざして祈り、もう1人は合掌して座ったまま頭を垂れて手をかざされながら祈っている人がいた。修行のやり方が分からないのでボーっとしてると、教師の女性から説明された。 「君はキリスト様を信仰してるんだっけ?ス様は其と一緒だから。ス様が全知全能の神様、其してキリスト様が大黒様ね。ね?よく分かったでしょ!」 ぬおぉぉぉいっ!!!其んなトンデモな説明で分かってたまるか!勝手な事抜かしてんじゃねぇ!…まあ、あの独特のシンボルを「ス様」と呼ぶのは分かった。後で調べてみると、正式には「御親元主眞光大御神様」と言い、略して「主(ス)の大御神様」「主神様(スしんさま)」と言うらしい。其して、祈りの仕方も教わる。 「先ずは正座して、合掌して頭を下げて…。一緒に唱えて。明主(めいしゅ)様、有難う御座います。明主様、有難う御座います。明主様、有難う御座います。」 出たーっ!以前関わった神慈秀明会等と同じく、手かざし系独特の祈りの言葉!明主様とは、全ての手かざし系宗教の源流となる世界救世教(MOA)の教祖、岡田茂吉の事である。崇教真光の教祖(初代教え主)は、公式には岡田光玉(本名:岡田良一(よしかず)。世界真光文明教団教祖。崇教は文明教団から分裂しており、崇教の教祖は事実上、光玉の養女で2代教え主の岡田恵珠(けいしゅ)。両者とも茂吉との血縁関係は無し)となってるのだが、MOAの影響力はデカいんだなぁ~。神慈秀明会には嫌な思いをさせられたので、此の言葉を唱えるのは非常に抵抗があったのだが、此処でやめては折角のカルト観察が終わってしまう。此処はグッと我慢して唱える事に。其して暫く無言の手かざしと祈りが続き、数分経った処で、 「もう良いわよ。又一緒に唱えて。明主様、有難う御座います。明主様、有難う御座います。明主様、有難う御座います」 ふぅ、終わった…。そう言えば、2人1組での祈りは、地元の大学の大学祭で「L.H.陽光研究会」という名前の偽装サークルで布教活動をしていた真光の学生信者と一緒にやった記憶がある。其の時は「明主様」の復唱は無かったが。其して、教師の女性から、 「どう?体調が良くなったでしょ!」 と言われたが、祈る前と特に何も変わらなかったので、 「いや、特に何も…。まあそもそも、自分が信じてるのはス様とやらじゃなくて、あくまでもイエス・キリストなので」 と返す。すると、教師の女性から、 「そう。まあ修行は連絡してくれればいつでも受けられるから、繰り返し受けてね!」 と言われた。冗談じゃねーっつーの…。 知人と道場を後にし、辺りも暗くなってきたので、 「そろそろ帰ります?」 と聞いたら、知人は、 「私ぃ、ラーメン食べたぁ~い」 と。又代金を払わされるのかな…と、一抹の不安を抱えながらも、バスで月曜日は替え玉無料サーヴィスの豚骨ラーメンの店に向かった。彼女は、 「私ぃ、豚骨ラーメンだぁ~い好きぃ~♪」 と御機嫌になりながら、物凄い勢いでラーメンを啜り、替え玉を繰り返していく。自分も大食いなので5玉位食べたが、彼女は其を大幅に上回った。かなり細い体なのに、其の麺は一体何処に入っていくんだ!?昼のドーナツにしてもそうだし…。 「はぁ~、御腹いっぱぁ~いっ!」 其の言葉を確認し、 「ちゃんと自分の代金払って下さいよ!」 と強く言うも、 「じゃ、私は外で待ってるから!」 と、すかさず逃げられてしまった。何て逃げ足が速い奴なんだ!!仕方無く2人分の代金を払って外に出て、 「自分の食べた分は自分で払って下さいよ!昼間の茶やドーナツの代金も!」 と再び強く言うが、 「ああ、私ぃ、財布持ってないからぁ」 と、あっけらかんと答える。待て~いっ!自分から誘っておいて、最初から飯をタカるつもりだったんかい!然もバス代は自分で払ってるから、「財布持ってない」って見え見えの嘘だろ!余りの所業に、全身の力が抜けてしまった。  然し、「毒を食らわば皿迄」と、彼女を家迄送る。かなり古びた公営住宅に、母親と2人暮らしらしい。経済的にかなり苦しい状況なのは見たら直ぐ分かった。彼女が家計の大黒柱にならねばならないのに、此の激しい布教活動や、厚かましく図々しく意地汚いタカり体質等の為に方々でトラブルを起こし、就職に苦戦してるというのは想像に難くない。別れ際に掃除機のゴミパックを取り替える手伝いをし、其を終えると自分も帰宅した。ふぅ、滅茶苦茶疲れた…。今回は精神的にも経済的にもかなりダメージを負ったな。  翌日、サポステで借りた就職マニュアル本を読み乍らゴロゴロしてると、携帯電話に着信が。彼女からである。 「はい、水野です」 と出ると、 「一寸あんた!一体どーいう事よっ!!!」 と、かなり怒ってる様子。何だ???こっちが代金の事で怒るのなら兎も角、怒られる事は何もしてない筈だが…。すると、 「あんた!あんたも神様はいるって!神様を信じてるって言ってたじゃない!なのに、何でス様を信仰しないのよ!おかしいじゃないの!」 何だぁっ!?!?若しかして、「俺が信仰してるのはキリストであってス様じゃない」って言った事への逆ギレか!?!?!? 「いつ信仰するのっ!!今でしょっ!!!」 オイオイ、あんたは某大手予備校の有名国語講師かよ…。呆れて一瞬物も言えなくなったが、信仰の押し付けや飯をタカられた事等に段々怒りを感じる様になり、 「五月蝿ぇっ!お前みたいな頭のおかしい奴に此以上付き合ってられるか!!もう2度と連絡してくるなっ!!!」 と怒鳴り、電話を一方的に切った。彼女とは其っ切りである。  真光は1度、大学祭での布教活動を体験していた事から、今回ははっきり言って舐めて掛かっていた。迂闊だった。御蔭で酷い目に遭った。矢張カルトに近付く際は、十分注意せねばならない。まあ、彼処迄人に飯をタカるのは彼女だけだろうが…。彼女は果たして現在、本当に人間社会に溶け込み、働く事は出来てるのだろうか…? ◎飲食厳禁カフェ!(浄土真宗親鸞会) (注:本項で取り上げる親鸞会は、一般に浄土真宗として知られる浄土真宗本願寺派や真宗大谷派、真宗高田派等とは一切関係無い)  SNS「フェイスブック」でイヴェント案内を見てみると、「仏教カフェ」なる物が地元で催されると知った。筆者はクリスチャンなのだが、宗教系の話を聞くのは決して嫌いではない(其して、カルトならばネタとして観察する)。早速申し込み、参加してみる事にした。  会場は公営施設。参加者は結構幅広い年代で、比較的若い人から高齢の人もいる。受付を済ませ、席に着く。  講師は「仏教講師」を名乗る人物。剃髪もせず、法衣も輪袈裟も身に着けてない事から、僧侶ではない事は窺い知れる。其して、何故か室内でも帽子を脱がない。先ずは自己紹介から始まる。 「私は日本で1番難しい大学の出身で、中でも1番難しい学部学科の出身です。其の儘何もしなければ簡単に卒業出来たのですが、敢えて卒業年度の時に中退しました。何故か?其は、人生の全てを仏教に捧げる為です」 何だ?此の自慢タップリの自己紹介は。自分が如何に優秀で、尚且つ信仰心が強いかを表したいんだろうが、非常に感じ悪く聞こえてしまう。其して、講演が始まる。 「自分の行ないは全て自分に帰ってくる。つまり、自業自得こそが仏教の教えです。更には、善因善果、悪因悪果、自因自果と言います。他の宗教では『信仰のみによって救われる』等と主張する所もありますが、信じるだけで救われるなら何も苦労しません。人は行ないによってしか救われないのです。其を明らかにしているのが仏教です」 講演は続く。 「今は世界各地で紛争や貧困等の社会不安が満ち溢れている世の中、末法の世です。こんな世の中で、人は常に『なぜ生きる』という疑問を感じながら生きています。然し、御釈迦様はこう仰っています。『人は幸せになる為に生きている』と」 「では幸せとは何か?御金持ちになる事か?良い大学に入って大企業に就職する事か?美人になる事か?いいえ、此等は全て、死んだら消えてしまう、儚い塵芥です。富や名声等、此の様な幸せを追い求める者は、親鸞聖人は『我利我利亡者』であると厳しく指弾しています。大切なのは、諦める事です。諦めるとは、『明らかに見る』という事です。其して、『後生の一大事』という物を知り、『絶対の幸福』を目指さなくてはなりません」(注:「我利我利亡者」とは、明治時代以降から使われ始めた言葉であり、親鸞の生きた時代には存在していなかった) 「此の世は大海の様な物で、人生とは其の海に浮かぶ船の様な物です」 中々結論の出てこない話がダラダラ続いて退屈だったので、茶を飲みながら聞いていた。 「では、『後生の一大事』とは何か?『絶対の幸福』とは何か?此は又の機会に御話ししましょう」 え?此で終わり?結局結論無しかよ…。其に、「絶対の幸福」って言う時、何故「”ぜ”ったいのこうふく」って「ぜ」にアクセントを付ける?随分不自然な喋り方だな…。  休憩に入ると、オンライン勉強会の入会案内と、御布施の案内が始まった。 「我々のカフェでは、オンライン勉強会も開催してます。此方は初回6000円、其の後は月額1000円で、カフェよりももっと詳しく深い話を聞く事が出来ます」 成程。結局此のカフェって、オンライン勉強会に入会させる為の餌って事か。だからカフェでは絶対に結論を言わず、「結論を聞きたければオンライン勉強会に入れ」と誘導するんだろうなぁ(実際、何度かカフェに参加するも、「絶対の幸福」「後生の一大事」が具体的に何なのかは全く語られなかった)。 「又、仏教では、有難い御話を聞かせて頂いた時、感謝の気持ちを御布施という形で表します。金額は決まっていません。御自由に御気持ちを表して下さい」 御布施を入れる箱が回ってくる。参加者の中には1000円札を入れる強者もいたが、自分はこんな中身のうっすい話で金を払おう等と思う筈も無く、ガン無視した。其して引き続き茶を飲んでいると、隣の人から、 「おいあんた!先生が大切で有難い御話をされてるのに、何茶なんか飲んでるんだよ!先生に失礼だろ!」 な、なぬ!?!?仮にも「カフェ」を謳ってるのに、飲食厳禁だと!?其に、初対面の参加者に対して「あんた」呼ばわりってどーよ? 「いや、一寸待って下さいよ。此の集まりは『カフェ』だと謳ってるじゃないですか。茶や菓子等を摘まみ乍ら話を楽しむというのが本来のスタイルなのでは?飲まず食わずじゃ只の講演会じゃないですか」 「兎に角!先生に対して失礼な行動を取るんじゃないよ!此のカフェを妨害する様な行為に及ぶと追い出すぞ!」 いや、だから何で茶を飲む事が妨害行為になるんよ…。  何か余り良い感じのするカフェではなかった。講師は尊大で傲慢、傲岸不遜と随分偉そうな態度だし、スタッフも非常に柄が悪いし…。其に、極端な現世否定の世界観、どっかで聞いた事がある様な…?其処で、講師の名前をネット検索してみた。「浄土真宗親鸞会」と出てきた。うは~っ!嘗て偽装サークルで出くわした親鸞会!SNSに迄進出してたとは!然も今回の団体名は「仏教カフェ」。矢張親鸞会の名前は出してない。又偽装かよ!ホント懲りねぇなぁ!  浄土真宗親鸞会とは、浄土真宗本願寺派(西本願寺)元僧侶で、浄土真宗華光会元会員の高森顕徹が1952年に設立した仏教系新宗教。当初は徹信会と名乗り、1958年に浄土真宗親鸞会となる。本部は富山県射水市。親鸞会側は「新宗教」と呼ばれる事を非常に嫌っており、あくまでも浄土真宗の一派であると主張する。然し、本願寺派や真宗大谷派(東本願寺)等、他の浄土真宗諸派全てを「親鸞の教えに外れている」と激しく非難している。又、浄土真宗以外の宗派についても激しく非難している。其の為、浄土真宗諸派からは「異安心」(異端、邪義)と呼ばれ、親鸞の教えに沿った集団ではないと評価されている。  親鸞会内では「絶対の幸福」「後生の一大事」「一切衆生必堕無間」等といった教義が強調されている。「絶対の幸福」とは親鸞会信者(「親鸞学徒」と呼ばれる)になる事であり、信者にならない事は「後生の一大事」であり、「一切衆生必堕無間」として必ず永遠の地獄に落ちるという物である。然し、「一切衆生必堕無間」という言葉は仏教の経典や親鸞、蓮如等、浄土真宗関係者の著書には全く出てこない言葉である。実は、此によく似た言葉が日蓮の「撰時抄」という本にあるとの事であり、「一切衆生必堕無間」や「絶対の幸福」等の言葉は、非難の対象としている筈の日蓮宗や創価学会等から盗用したとの見方がある。其して、親鸞会では「善知識」と呼ばれ生き仏の様に崇め奉られている高森も、著書の多くは師匠筋に当たる大沼法龍(村岡正人)という僧侶の著書の盗作であると言われている。  機関紙は顕正新聞。此は日蓮宗系の冨士大石寺顕正会が発行する機関紙と同名だが、全く関連は無く、寧ろ親鸞会は日蓮宗系諸団体を猛烈に非難している。関連会社・団体として1万年堂出版、チューリップ企画、日本仏教アソシエーション、全国仏教カウンセリング協会、オンライン仏教アカデミー、浄土真宗学院、真生会富山病院などがある。高森の著書「なぜ生きる」「歎異抄をひらく」等は、全て1万年堂出版から出されている。1万年堂出版のベストセラーとしては、明橋大二の「子育てハッピーアドバイス」シリーズがあるが、明橋は親鸞会系列の真正会富山病院に勤める医師であり、医大生時代はキリスト教や他の仏教を「似非宗教」と激しくバッシングする発言を顕正新聞に載せていた。「子育てハッピーアドバイス」も、筆者が読んでいた時に突然釈迦や阿弥陀如来の姿が出てきてギョッとした記憶がある。更に筆者は明橋の講演も聞きに行った事があるが、其の時は非常に穏やかな性格に見えた。然し、親鸞会内部では非常に攻撃的な性格を剥き出しにしていたので、非常にショックを受けた。1万年出版は「ベストセラーを連発」と自身を宣伝しているが、実態は信者に大量に何冊も買わせているのだという。  チューリップ企画は親鸞会の映像部門で、「世界の光 親鸞聖人」「親鸞聖人と王舎城の悲劇」「なぜ生きる」「歎異抄をひらく」等のアニメ作品を制作し、各地で上映会をしている。信者によるVHSヴィデオテープやDVDの訪問販売も行なわれており、親鸞会内では「光作戦」と呼ばれている。「世界の光」「王舎城の悲劇」は、現在は「親鸞聖人物語」と題して上映会をする事が多い。  「世界の光」は、親鸞を山口勝平、松本保典、麦人、柴田秀勝等が年代に応じて演じており、更に他の出演者も小川真司、横尾まり、石丸博也、緑川光、掛川裕彦、有本欽隆、島本須美、西村知道、石田彰、川津泰彦、田原アルノ、牛山茂、平田広明、西尾徳、飯塚昭三、巻島直樹、中尾彬、郷里大輔、藤田淑子、宮本充、日色ともゑ、中尾隆聖、青森伸、岩男潤子、金月真美、塩屋翼、中田譲治、丸山詠二、林玉緒、 鈴木弘子、来宮良子、弥永和子等、非常に豪華である。「王舎城の悲劇」も弥永和子、宮本充、笹岡繁蔵、田原アルノ、堀勝之祐、鈴木勝美、林玉緒、紗ゆり、小川真司と、非常に豪華。「なぜ生きる」も、主演の蓮如役は里見浩太朗であり、他の出演者も小西克幸、田中秀幸、真殿光昭、鈴木弘子等、有名声優が出演している。「歎異抄をひらく」は主演の親鸞役は石坂浩二で、他の出演者は増田俊樹、細谷佳正、三木眞一郎、伊藤健太郎等、矢張非常に豪華である。此等の様に、親鸞会のアニメは「ヘルメス」「仏陀再誕」等の幸福の科学のアニメと同じく、有名声優が多数出演する非常に豪華な物となっている。此が「親鸞会はカルトではない」と錯覚させる一因にもなっているだろう。恐らく、出演者も親鸞会がカルトだという事は知らずに出演したのではないだろうか。  GoogleやYahoo等、主要な検索エンジンで「仏教」「浄土真宗」等と検索すると、特定の寺院(例えば「築地本願寺」等)と一緒に検索しない限り、殆どの場合日本仏教アソシエーション、全国仏教カウンセリング協会、オンライン仏教アカデミー、浄土真宗学院等、親鸞会系列のサイトに繋がる様になっている。検索ヒット数を上げる為の広告費も莫大な費用を注ぎ込んでいる事が伺える。其して、其等のサイトは親鸞会のサイトである事を決して明示していない。騙して引き入れる魂胆が明らかとなっている。  強引な押し売りによる金の現物まがい商法で、詐欺事件としては史上最大規模の被害者を出した豊田商事の社長である永野一男から、親鸞会は関連会社名義で少なくとも1億3千万円の献金を受けていた。又、永野は高森の著書を購読したり、週1回の割合で親鸞会から講師を呼び、社員に講話を聞かせていた等、親鸞会と豊田商事は非常に深い関係にあった。尚、後に永野は詐欺被害者の元上司で、鉄工所を経営する右翼活動家と名乗る男性2人組に、TVカメラの前で刺殺されるというショッキングな出来事に見舞われている。又、豊田商事の幹部社員だった前田英仁は、後に饂飩チェーン店「はなまるうどん」を創業している。  親鸞会は、兎に角有名人の権威を利用して自身を大きく正しい物だと見せようとする特徴がある。例えば、 「司馬遼太郎や西田幾多郎、吉本隆明、斎藤孝等は、歎異抄だけが唯一の教えだと語った」 「稲森和夫の経営哲学は仏教」 「ニーチェやアインシュタインは、仏教だけが正しいと語った」 「アドラー心理学の根本は仏教」 「『7つの習慣』は仏教を元に書かれた」 「ハイデガーは歎異抄の英訳を読んで、『自分は歎異抄にもっと早く出会っていれば直ぐ日本語を勉強し、此の思想を世界に広める活動をしただろう。然し遅すぎた』と自身の人生を後悔した」 等が宣伝文句として使われている。然し、殆どは出鱈目である。  例えば、稲森和夫は神道系の新宗教・生長の家の信者だったし、アドラー心理学のアルフレッド・アドラーはユダヤ教徒、「7つの習慣」の著者であるスティーブン・コヴィーはモルモン教徒であり、全員仏教とは全く関係が無い。西田幾多郎は確かに仏教哲学に精通していたが、彼が傾倒していたのは浄土教ではなく禅宗である。司馬遼太郎が歎異抄について言及していたという論も、親鸞会の宣伝サイト以外では出展が全く出てこない。吉本隆明は親鸞についての著書があるが、著書内では一遍の時宗や日蓮宗系の「死のう団」等についても言及しているし、彼は新左翼のイデオローグでもあり、特定の宗教思想に傾倒していた痕跡は見られない。斎藤孝は親鸞や歎異抄についての著書があるが、他の同時代の古典文学についても著書があり、仏教だけを特別扱いはしていない。ニーチェやアインシュタインが仏教に一定の関心を寄せたのは、日本人が西洋文化に一定の憧れを持っていたのと同じく、東洋文化への一定の憧れ程度の物であろう。  ハイデガーの発言に至っては、ハイデガーの人となりを少しでも知ってるなら失笑物の笑い話でしかない。ハイデガーの学究への欲望は尋常ではなく、若し本当に歎異抄を世界に広めたいと思っていたなら、若し明日自分が亡くなると分かっていたとしても日本語の学習を始め、歎異抄に関する何らかのメモを残していた事だろう。然し、ハイデガーからは仏教処か東洋哲学に関する発言すら一言も残っていない。此処でハイデガーは仏教については全く興味関心が無かった事が伺える。此のエピソードは、松野尾潮音という浄土真宗本願寺派の僧侶が仏教系新聞「中外日報」に発表した物であり、彼の創作であるという見方が強い。  兎に角、此奴はちょっくら理論武装が必要だな…。取り敢えず、次回のカフェからは瀬戸内寂聴(僧侶、作家)、宮崎哲弥(評論家)、ひろさちや(仏教評論家)、哲夫(芸人、笑い飯)等、親鸞会とは関わりの無い仏教者の本を持ち込んで臨む事にした。  2回目の参加からは、休憩中に他の参加者と上記の人達の著書を回し読みする様にした。信者達は、 「いや、本当の仏教は我々が用意した此等の本で…」 と、筆者が用意した本を読む事を制止し、1万年堂出版の本を読ませようとするが、全く意に介さなかった。此を何度も繰り返した。  或る日、日蓮宗系のカルトである冨士大石寺顕正会が駅前で布教活動をしており、チラシを配っていたので、其を仏教カフェに持ち込んだ。休憩中に、わざと講師に見せ付ける様にして読んでると、 「はぁ、創価学会員を救いたい、ですか…」 と引き攣った顔で話し掛けてきた。すかさず、 「先生も同じ仏教ですから、此には興味があるんでしょう?」 と言うと、更に顔を引き攣らせ、 「いや、全くありませんけどね…」 と答えてきた。 「何故ですか?同じ仏教ですよ?」 としつこく聞くと、益々顔を引き攣らせる講師。其処で、 「そーだ!先生の話を踏まえて、参加者全員で此のチラシに書いてある事について議論しましょうよ!」 とチラシを机の上に広げた。すると信者がすっ飛んできて、チラシをもぎ取ってビリビリに破り捨て、更に筆者を数人で取り囲んで部屋の入口迄押し出し、 「出鱈目な物を持って来るんじゃないよ!我々が教えてる事以外は仏教じゃないんだよ!」 と怒鳴ってきた。すかさず、 「いやいや、日蓮宗も浄土真宗も、単なる仏教の一派に過ぎず、全てひっくるめれば仏教でしょう?多少の強調点が違う位で」 「全然違う!日蓮は仏教じゃない!親鸞聖人だけが仏教だ!」 「では阿弥陀信仰を普及させた法然はどうなるんですか?法然も仏教じゃないって言うんですか?」 「我々は法然上人の事を全否定はしてないよ!法然上人が仏教の基礎を作って、親鸞聖人が完璧な物に完成させたんだ!だけど今の浄土宗は仏教じゃないよ!」 「では日蓮はどうなんですか?『念仏だけで救われる』浄土教と『題目だけで救われる』日蓮宗。そっくりじゃないですか。兄弟みたいなもんでしょ?」 「全然違う!正反対だ!日蓮は仏教を騙る偽物だ!」 「いやいや、法華経、妙法蓮華経って、日蓮だけじゃなくて釈迦の時代から唱えられてた御経でしょう?聖徳太子等も唱えてましたよ?」 「南無妙法蓮華経は御経じゃない!日蓮の捏造だ!」 「法華経が日蓮のでっち上げとなると、釈迦の教えも間違ってるという事になりません?」 「全然違う!御釈迦様は世界で唯一人間から仏様になられた御方だ!日蓮は只の嘘吐きだ!」 「だから、妙法蓮華経の何処が嘘で捏造ででっち上げだと言うんです?」 「妙法蓮華経は単に『妙法蓮華経』だ!『南無』なんて付けない!日蓮は妙法蓮華経に南無を付けてしまって、御経を台無しにして、間違った教えを広めてるんだ!」 「じゃあ南無阿弥陀仏はどうなんですか?南無妙法蓮華経と全然変わらないんじゃないですか?」 「全然違う!南無阿弥陀仏はちゃんと御経に書いてある言葉だ!南無阿弥陀仏だけが本当の御経なんだ!」 「南無阿弥陀仏は、南無妙法蓮華経と違って御経の言葉だと言うんですか?」 「そうだ!御経は一字一句、絶対に変えてはいけないんだ!其を変えたから日蓮は仏教じゃないんだ!」 「さっきから阿弥陀如来の事ばかりが強調されてますけど、如来にも釈迦如来や大日如来、薬師如来等、色んな仏がいますよね?其方は仏じゃないんですか?」 「仏様には厳然たる序列と格差があるんだ!阿弥陀様こそが仏様の王様、最高の仏様なんだ!其以外は阿弥陀様の弟子に過ぎないんだから、阿弥陀様だけを拝まなくちゃ駄目なんだ!」 「…分かりました。兎に角、貴方方は阿弥陀如来の事が好きなんですね」 「好き嫌いの問題じゃない!阿弥陀様だけが正しいんだ!」 「分かりました。もう結構です。そろそろ休憩も終わりそうなんで、戻りますね」 何とか話を収めて、其の日は終わった。然し、親鸞会が「一字一句御経を変えてはならない」と言っているにも拘らず、仏典や浄土真宗関係者の著書に無い言葉を教義に採り入れているのは前述のとおりである。  別の日のとある年末。カフェが終わった後、丁度参加者の中で初詣の事が話題になってたので、講師にわざとらしく話題を振る。 「そーだ!先生は初詣は何処の寺に行くんです?」 講師は一瞬絶句し、引き攣った顔で答える。 「いや、仏教に初詣という風習は無いので、家でゆっくりしますね…」 「いやいや、其じゃあ○○寺に行って下さいよ!自分の職場が参拝客を相手に屋台を出すんですよ!先生も屋台で蛸焼とフライドポテトでも買っていって下さいよ!」 「いや、正月に外出は一切しません…」 丁度当時、筆者は飲食店に勤めており、其の店がとある寺の参道で年始に屋台を出す予定だったので行かせようとしたが、講師は全力で拒否。そりゃあ親鸞会は全ての寺を否定してるんだから、寺院なんぞに足を踏み入れる訳無いわな。今回も結構痛い所を突かれたんとちゃうか?  暫くして、「歎異抄をひらく」のアニメ映画会があった。此は高森顕徹の歎異抄解説本が原作。出演者は石坂浩二、増田俊樹、細谷佳正、三木眞一郎、伊藤健太郎等、非常に豪華。 上映会が終わり、感想文の提出を求められる。「出演者が豪華で、金が掛かってる感じだった」と一言だけ書いて出した。信者が、 「内容の素晴らしさについては書かないのか!」 と言ってきたが、当然内容はうっすいので書く事が無かった。隣にいた人が信者と話をしてて、彼は、 「自分はクリスチャンで神学校にも行ってたんですけど、イエス・キリストの教えと浄土真宗の悪人正機の思想は共通点がありますよね…」 と語ってたので、すかさず話に割り込み、 「ああ!自分もクリスチャンなんですよ!何方の教会に集われてます?」 と、親鸞会の連中を放っぽって彼と会話を始めた。すると信者が、 「そういう話は此処ではいいから!今は親鸞聖人の素晴らしさを語る時間だ!」 と止めてきた。然し、 「いや、自分は親鸞よりキリストの方が興味があるので」 と、意に介さなかった。  別の日。家に帰る方向が筆者と同じ信者が、筆者を車に乗せてくれる事になった。一緒に車に乗っていると、 「どうだ!あんたも随分此のカフェに参加してるから、そろそろ仏教を信じて帰依したいと思う様になっただろ!」 と言われたので、 「いえ、全く。自分は仏教だけが優れていて正しいなんて、独善的な考え方にはなりませんので」 と返した。すると、 「じゃあどうしてカフェに来てるんだ!」 と言われたので、 「仏教を含め、色々な哲学を学ぶ為です。自分はキリスト教徒なので、様々な宗教思想を比較するというのは有意義だと思ってます。其に、貴方方だって抑々参加者に仏教を信じさせ、帰依させる為にやってる訳じゃないでしょう?其は寺の役目で、講師なんかでは出来ない筈ですし」 と返すと、信者はムスッとした顔をして押し黙ってしまった。親鸞会なんぞ絶対に信じてたまるかってんだよ!  又別の或る日。休憩中に「ペシャワール会」代表としてアフガニスタンでヴォランティアを行なっていた、中村哲が殺害された話題で盛り上がっていた。参加者は一様に「中村さんは立派だった」と、中村の功績を讃えていた。然し、講師がすかさず割り込んできて、 「中村なんて奴はキリスト教なんて嘘の宗教を信じてたから死んだんですよ。死ぬべくして死んだのです。クックックッ…」 と笑い始めた。余りの発言にギョッとした。何故人が死んでるのに笑えるんだ?すかさず、 「いやいや、中村氏はアフガニスタンの為に、非常に貢献してたじゃないですか。医療援助は勿論、用水路や水道の整備、学校の建設等、彼がアフガンで果たした役割は非常に大きいですよ。其して、其は彼がクリスチャンだから出来たんですよ」 「アフガニスタンが駄目な国なのは、イスラム教なんて嘘の宗教を信じてるからですよ。中村が本当にアフガンを救いたいと思ってたなら、私みたいに仏教講師になって、国を仏教に改宗させる以外方法は無かったんです。水道や学校なんて何の意味も無い、只の虚しい塵屑、塵芥じゃないですか。アーッハッハッ…」 1人の人が命を懸けて人を救ったという尊い行為を笑い話としか思っていない講師の態度に腹が立ち、筆者も声を荒げ、 「いやいや、仏教には仏教独自の救いがあるでしょうけど、キリスト教にはキリスト教の、イスラム教はイスラム教の救いがあるでしょうよ!カルトでない限り、宗教に優劣や貴賎は無いですよ!」 と反論した。然し、 「いえいえ、仏教以外に救いは無いんですよ。仏教を信じなければ永遠の地獄に落ちるだけです。此は決まった事なのです。イッヒッヒッ…」 と、声を上げてニタニタと笑い続けた。非常に気分が悪かった。何だ此奴は!?親鸞会には血も涙も無いカルトであるという事を、改めて実感した。  更に別の日。休憩中、参加者の中に何かのイヴェントへの参加を勧誘されている人がいた。イヴェントのチラシを見ると、富山の親鸞会本部で開催される、高森顕徹の講演会だった。然も1泊2日の泊り掛け。社会人が多いこのカフェの参加者にとっては、移動の日も含めて3日以上仕事を休む必要がある。信者はかなりしつこく勧誘していて、 「仕事なんて、『仏教の有名な先生の話を聞きに行く』って言って、休んでしまえばいいんだよ…」 と言っていた。自分はすかさず、 「別に無理して富山くんだり迄行く必要も無いんじゃないですか?此の講師の人が有名だなんて聞いた事も無いですし、仏教を学びたいなら此のカフェだけで十分でしょう。其でもより深く学びたいなら、2日程度の合宿じゃなくて、放送大学や佛教大学等の通信教育で体系的に勉強した方が良いですよ」 と割り込んだ。すると信者に、 「あんたには関係無い!我々は此の人に本当の仏教を学んでもらいたくて誘ってるんだ!あっちへ行ってろ!」 と怒鳴られた。いよいよ参加者の洗脳に入ってきたか。危険な動きだな…。其処で、親鸞会の被害者家族の会や、浄土真宗僧侶等による、親鸞会批判サイトのコピーを持ち歩く事にした。  1回目は数回のカフェ参加で仲良くなっていた年配の女性。彼女にコピーを渡し、次のカフェで感想を聞くと、 「先生は此のカフェがカルトの主催だって事を御存知無いの?先生はカルトに騙されてるっていうの?」 と聞かれたので、 「いやいや、先生自体がカルトに派遣されて此のカフェは開催されてるんですよ。先生が此のカフェをカルトだと知らない訳がありません」 と断言。女性は、 「嘘よ、あんな立派な事を言ってる先生が…。とても信じられないわ」 と言うので、 「一見立派な事を言って参加者を騙す。此がカルトの常套手段です。もう此のカフェには参加されない事を勧めます」 と伝えた。既に洗脳は始まってる様だ…。危険だ。  続いて、前回のカフェでしつこく合宿に勧誘されていた男性にコピーを渡す。其して次回に感想を聞こうと思っていた。処が…。  次のカフェに参加しようとフェイスブックで参加申込をした処、信者がメッセージを送り付けてきた。 「おい貴様!矢張貴様は最初から我々を妨害する目的でカフェに参加してたんだな!貴様はもう追放だ!2度と来るな!」 という内容だった。筆者は、 「いや、一寸待って下さいよ。自分は色んな資料も持ってきて、カフェを盛り上げる役目を果たしてきたじゃないですか。妨害なんて全然してませんよ?」 とメッセージを送る。すると、 「其の資料ってのは、此か!」 と、画像付きのメッセージ。画像は筆者が男性に渡したコピー。男性は受け取ったコピーを信者に渡し、筆者の事を密告していたのだ。嗚呼、洗脳済みだったか…。 「此もあくまでも参考資料みたいなもんですよ。カフェへの参加は継続させて頂きます」 「五月蝿い!来るな!」 とメッセージが送られ、アクセス禁止されてしまった。 其以降、カフェの参加申込をしても返信が来なかったり、カフェの会場に直接訪れても誰も来なかったりと、表立った活動を隠す様になった。  親鸞会は其の名前から、未だに信者でない人でさえも「浄土真宗なんだから寺院の1つに過ぎない。カルト扱いするのはおかしい」と言う人がいる。然し、被害者家族の会や浄土真宗僧侶による批判サイトが多数立ち上げられており、大学等も「キャンパスカルト」の一種として注意を呼び掛けている、立派なカルトである。純粋に仏教を学びたいと思っていたら親鸞会に取り込まれた等という事が無い様に、細心の注意を払う必要がある。 ◎3日掛かりの地区大会!(エホバの証人)  地元の同人誌即売会に一般参加する機会があったのだが、会場となっていた展示場が、後日エホバの証人(ものみの塔)の地区大会に使用されるという告知が貼られていた。しかも日程は3日間!此は!エホバでは出くわした事が無い、大規模集会ではないか!3日連続参加は無理だが、大会1日目の日なら空いてる。よし!行ってみる事にした。  開会10分前位に着く様に車を走らせたが、駐車場は溢れんばかりの車車車!正に轟状態である。エホバの信者って、こんなに多いんだ!?地区大会だから全県から、更には隣県からも集まってるのかしら。会場に入ると、正に黒山の人だかり。ホールは全席満員でギュウギュウ詰めだった。参加者は、男性は夏場だというのに全員長袖スーツに帽子の姿、女性は帽子に長髪で、ロングスカートのスーツかドレス姿だった。エホバ信者はドレスコードが非常に厳しく、集会参加は常に正装が義務付けられている。子供達も同様で、男児はスーツ、女児はドレス姿だった。「結婚式の参列かよ!」と思ってしまった。会場出入口には、全ての所に「特別献金」と書かれた箱が置かれていて、参加者は1000円札をポンポン放り込んでいた。中には10000円札を放り込んでいた強者も…。  開会のアナウンスが会場内に響く。席に着かねば。司会の祈祷が始まる。 「全知全能のエホバ神、…、此の祈りを、エホバの御名を通して御前に御捧げ致します。アーメン」 あ、やっぱエホバ信者は神の事を「エホバ」と呼ぶんだ。又、一応「アーメン」とも言うのね。其して、讃美歌の演奏が始まると、周囲は全員一斉にタブレットを開いて、讃美歌の楽譜の頁を開いた。讃美歌のアプリが入ってるのか。自分は隣の人に、 「済みません、自分は未信者で…」 と言って、一緒に見せてもらいながら歌った。歌詞にも「エホバ」と出てくる独特の歌である。聖書朗読が始まると、矢張信者はタブレットでアプリを開いて読んでいた。聖書の文書の題名を見ると、一般的に普及している聖書とは微妙に異なっている。そう、エホバは「新世界訳聖書」という、英語が原典の独自の聖書を使用している。翻訳は独特で、エホバの教義に都合の良い物となっている。本来の聖書はギリシャ語とヘブライ語が原典で、英語等の他言語の物を原典とする事はあり得ない。  聖書朗読が終わると、スクリーンが下りてきて、ヴィデオメッセージが始まった。 「統治体からのメッセージです。昨年の大会では『従順』がテーマでした。今年のテーマは『忍耐』です。来年は…御楽しみという事にしておいて下さい」 「従順」に「忍耐」か…。何か如何にも信者を押さえ付ける、抑圧する感じのテーマ設定だな。其に「統治体」って何だ?ヴィデオは続く。 「伝道文書を漫然と配っていても信者は増えません。繋がりや関わりの無い人の家も訪問し、積極的に伝道しましょう」 といった信者向けのメッセージがあったり、バプテスマ(洗礼)志望の少女に父親が新世界訳聖書の勉強を促し、バプテスマに至る等といった話等が出てくる。  最も印象的だったのは、「結婚前に培ったスキルを活かして、自分も働きに出たい。自己実現になるし、富を築くという事は献金という形でエホバにも貢献する事にもなる」と主張する女性に、其の夫が「エホバから与えられた男女の役割という物を改めて理解すべきだ。君が御金を稼ぐ事は、本当にエホバの御心なのだろうか?エホバが君に与えている役割は、多くの人々にエホバを伝道する事だろう?」と諭す話である。露骨な性的役割論・性別分業論に、嫌悪感と気持ち悪さを覚えた。  会の終わりには讃美歌を歌って、司会の閉会祈祷で終了。隣の人からは、「今回の大会参加を切っ掛けに、貴方も是非エホバ神を信仰して下さい!」と言われた。信じねーよっ!3日間のプログラムを見ると、2日目には洗礼式もある。此は是非見てみたかったが、日程の都合上見られないのが残念だった。  エホバの教義の特徴としては、一般的なキリスト教の教義である三位一体論を否定し、イエスは単なる人間だと主張する。又、イエスは十字架刑に処せられたのではなく、「苦しみの杭」という一本の杭に打ち付けられて死んだと主張している。其して、エホバ以外のキリスト教会を「原始キリスト教会から背教した淫婦」と非難している。一方、一般的なキリスト教もエホバを異端と断じており、ベルギーやフランスではカルトと認定されている。  輸血禁止は有名だが、一方で血液の接触を免れ得ない臓器移植に関しては容認しており、教義に矛盾があるという批判がある。輸血を拒否して亡くなった信者は、機関誌「ものみの塔」「目ざめよ!」等で大々的に顕彰される。戦う事も禁止なので、兵役拒否は勿論、学校の体育の授業で格闘技があれば拒否する。格闘技の授業を拒否した生徒が留年や退学をさせられ、裁判となった事例もある(日本では原告であるエホバ信者の生徒が勝訴している)。  偶像崇拝を嫌い、十字架等のシンボルを王国会館(教会に当たる)に掲げる事は勿論、国旗・国歌・校歌等も拒否する。誕生日やクリスマスも祝ってはならず、年賀状等、季節の挨拶の遣り取りも許されない。死者の遺骨や遺品も偶像と扱われるので、葬儀は行なわず、死者の遺骨や遺品は全て捨ててしまい、墓も建てない。当然、墓参りもしない。政治に関わる事も禁止されており、政治家や公務員にはなれず、選挙に至っては学級委員選挙すら投票を許されない。一方で、強固な反共主義でもある。  組織も独特で、エホバの組織はアメリカの本部に常駐している「統治体」という組織に支配されている。此は「天国に行くと約束された」と言われる指導的な男性信者数名で形成された組織である。教会に当たる王国会館では、男性信者が指導的役割を担う「長老」(又は「監督」)に選ばれ、無給で奉仕に当たる。女性が指導的役割を担う事は許されない。  信者間の教団内の序列は絶対で、一般信者が指導的な信者に逆らう事は許されない。其の為、指導的信者や、其の子供が一般信者の子供に対して性的虐待をする事が横行し、一般信者は教団内の序列のせいで被害を告発出来ないという事態に陥っているという。更に、家庭では子供に対して鞭打ちの体罰が頻繁に行なわれ、布教活動においても子供は親に有無を言わさず連れ回されるので、「児童虐待が常態化している」と批判されている。  又、布教活動は仕事や学業、家庭生活等よりも優先させられるので、信者は布教活動の為に家事・育児放棄による家庭崩壊、失業や学校中退、就職・進学断念等を余儀なくされている。特に、女性が中等・高等教育を受けようとする事は徹底的に嫌われる。  信者以外での男女交際も厳禁で、当然結婚も信者同士でないと許されない。又、離婚も厳禁である。  エホバは「天国に行けるのは世界で144000人だけ」と主張している。其の事から、「140000人前後しか天国に行けないなら、幾ら布教して信者を増やしても、其の人達は勿論、布教している人自身さえ天国には行けないのだから無駄なのでは?」という批判もある。  1914年、1917年、1941年、1975年に世界の終末、滅亡を予言しているが、悉く外れている為、此の事も批判されている。  一方、エホバは日本においては反戦運動で一定の評価を得る事もある。戦前「灯台社」の名で布教を始めた明石順三は、エホバの教義に基づき兵役拒否を貫いた。此の事から、「日本のキリスト教はほぼ全てが侵略戦争に協力していたが、明石を始めとするエホバ信者が兵役拒否等で反戦を貫いたのは注目すべき」と言われる事もある。尚、明石は後にアメリカのエホバ本部に星条旗が掲げられていた事を「偶像崇拝」として批判するも、逆にエホバから非難を受けて除名され、エホバへの信仰を棄てている。  只、反戦運動で一定の功績があったとしても、功罪としては「罪」の方が大きく、美化は禁物である。 ◎役所で回し読みされてる怪し~い新聞(新生佛教教団)  筆者は選挙ネタを仕入れる為に、よく地元の選挙管理委員会を訪れる。ある日、選挙公報を貰おうと選管を訪れた処、入口に1番近い机に「日本時事評論」という新聞が置かれていた。新聞の左上を見ると、「確認印」と書かれた紙がホッチキスで留められており、選管職員の印鑑が幾つか押されていた。職員で回し読みする決まりになってる新聞なのか。役所の物だから手に取る事は出来ないが、何だか気になって1面を覗いてみる。「反日を斬る!」「ジェンダーフリー、男女共同参画等、行き過ぎた男女平等に反対」等、かなり極右的、女性差別的な文言が飛び交っている紙面だった。  家に帰って、「日本時事評論」の発行元について調べてみる。すると、此は新生佛教教団という団体の機関紙だと分かった。ひえ~っ!宗教右翼の機関紙か!  新生佛教教団は山口県光市に本部がある仏教系新宗教。「新生した仏教」を謳い、既存の仏教とは関係を持っていない。政治的には「反創価学会で、自民党・公明党連立政権に批判的」と言われる一方、安倍晋三、石原慎太郎、石原伸晃、亀井静香、平沼赳夫、高村正彦、衛藤晟一、中山泰秀、西村真悟等、自民党を中心とする右派系議員と人脈がある。更に、日本大学背任事件に関わった藪本雅巳の父も教団の信者であり、藪本が日大と政界を繋いでいたという。  教団代表の秋本協徳は右派団体・日本会議の代表委員と日本会議山口の副会長を務め、教団を上げて日本会議の活動に取り組んでいる。育鵬社の教科書(自由社から教科書を出している「新しい歴史教科書をつくる会」から分裂した、「日本教育再生機構」「教科書改善の会」系列の教科書)採択運動にも協力している。日本時事評論社から機関紙「日本時事評論」(旧「時事日本新聞」)、機関誌「湧泉」を発行しており、改憲、原発推進、男女共同参画批判、日教組(日本教職員組合)批判等の主張を展開している。  三井マリ子(元都議)は、山口県宇部市で男女共同参画推進条例が制定される際、日本時事評論社が圧力を掛けて内容を変更させたと主張している。此等の事から、山口智美(文化人類学者)は日本時事評論社を「フェミニズムへのバックラッシュ(社会的弱者の人権擁護運動への反動的潮流)のいわばリーダー的な役割をはたしている」と評している。  冬柴鐵三(元代議士、弁護士)は公明党幹事長だった当時、日本時事評論社等に「名誉を傷つけられた」として、1100万円の損害賠償等を求めて訴訟を起こしたが、敗訴している。  「バカ高い新聞や雑誌を役所や企業等に売り付けて、事実上の献金をさせる」という手法は、俗に「政治ゴロ」と呼ばれる右翼団体や総会屋等が取ってきた物であるが、此の新聞もそういった類の物だろう。此の様な内容にかなり偏りがある新聞が役所で、然も選挙を扱う部署で回し読みされてるという事実に頭が痛くなった。更に、役所で印鑑を押して回し読みをしてるという事は、此の新聞は税金で定期購読されてるという恐れも否定出来ない。やれやれ…。orz     ◎え~か~!?い~わ~!?(モルモン教)  筆者が幼少の頃、父親が英語の必要な部署に転属になり、英会話教室に通う様になった。某大手英会話教室に通っていたのだが、其と並行して、「無料の英会話教室がある」という事で、其方にも通う様になった。すると、少々面倒臭い事になったのである…。  父が無料英会話教室に通う様になってから暫くして、「長老」を名乗る白人男性2人が自宅を訪れる様になった。名札には「長老」と書いてあるが、2人とも20代位の若い人である。「あんな若く見えるのに、何故『長老』?」と不思議に思った。又、名札には「末日聖徒イエス・キリスト教会」とも書いてある。  父は律儀なのか何なのか、後日彼等の為に時間を割き、出前の寿司とビールを用意し、彼等を接待した。当時の筆者は「『小僧寿○』じゃない寿司が食える~♪」と無邪気にはしゃいでたが、果たして両親はどんな気持ちだっただろうか…。  2人の「長老」は英語で熱心に信仰を語っていたが、宗教に全く興味の無い父は、彼等の話に全く関心を示さなかった。適当な雑談には応じるが、宗教的な話になるとはぐらかして話題を変える事を促している様な感じだった。「長老」達は寿司は摘まむが、ビールや茶には一切手を付けず、水を飲んでいた。其して「長老」達は其の後も何度か自宅を訪れたが、次第に来なくなった。  「末日聖徒イエス・キリスト教会」は、一般的にモルモン教と称され、彼等自身はキリスト教の一派と主張している。然し経典は「モルモン書」と言われる書物であり、正統なキリスト教はモルモンの事をキリスト教とは認めておらず、「異端」と断じている。アメリカではユタ州を始めとして多くの信者がおり、政治的・社会的にも非常に影響力のある教団の1つと見做されている。18歳以上の男性信者は、異国の地で2年間布教活動をする事が義務付けられている。ケント・ギルバート(弁護士)やケント・デリカット(実業家、タレント)等は、布教活動が切っ掛けで来日した。其して、路上での布教活動だけでなく、教団の施設で無料の英会話教室を開き、其処に集まってきた人を布教のターゲットにするというのが彼等の手法である。「長老」は年齢ではなく、信者の階級みたいな物を表す用語である。酒やコーヒー、茶等を飲んではならない等、飲食物の制限が多い事は有名。著名な信者としては、ジョージ・ロムニー(実業家、政治家)、ミット・ロムニー(政治家、ジョージの次男)、スティーブン・コヴィー(経営コンサルタント、「7つの習慣」著者)等がいる。  現在は世俗化し、カルトから脱したと見る意見もあるが、一方で白人至上主義・黒人差別的な教義や、一夫多妻制(現在は廃止)や女性伝道者を認めない等の女性差別的な点、里親制度や養子縁組を利用したネイティヴアメリカン児童の養育が民族浄化の役割を果たしている(児童にネイティヴアメリカンの文化を教育せず、アイデンティティを認めない)点等が批判の的になっている。  更に、信者はガーメントと呼ばれる長袖の下着の着用義務がある。此は入浴時等以外は常時着用していなければならず、又、「肌に直接身に着ける」事が求められる為、パンツやブラジャー等の下着も此のガーメントの上に着用せねばならない。其して脱いだり、人に見せたりすると罰を受けると言われる。ガーメントは人に見せてはならないので、必然的に普段の服装も長袖の服や長ズボン、ロングスカート等、非常に限られてくる。肌を露出する様な服装も許されない。こうした衣服の着用義務や服装制限も、マインドコントロール(洗脳)の一種として批判されている。「ネイティヴアメリカンはヘブライ人の子孫」(実はネイティヴアメリカンはヘブライ人等のコーカソイド系ではなく、モンゴロイド系)等、モルモン書の記述自体の信憑性の怪しさも問題視されている。  暫くして父は、「布教活動が鬱陶しいし、彼等が話す水準の英語はもう分かった」と、モルモンの英会話教室に行くのはやめた。賢明な判断である。モルモンの英会話は「ええか?」と聞かれて「良いわ!」と言えるものではなく、「もうえぇわ!」という物である。 ◎路上で本に埋もれる!(クリシュナ意識国際協会)  ある日、駅前を歩いてると、外国の僧侶の様な黄色い法衣を着た男性が近付いてきた。彼は大量の本を抱えており、 「はいっ!此持って!!」 と大量の本をいきなり持たされた。何事か!?思う間も無く、手の中には高々と積み上げられた分厚い本の山! 「す、すんません、何すか、此…」 と筆者が聞くと、男性は、 「君が今持ってるのは6冊か!じゃあ、1冊500円にしてあげよう!合計3000円ね!」 え!?いきなり本を無理矢理持たせて、其を「買った」事扱いにして金取るの!?突然の事に頭が混乱する。混乱と恐怖の余り、其の男性の言われるままに3000円払ってしまった。 「いやぁ!私に巡り会えてこんな有難い本が貰えたなんて!君は非常に幸運な奴だな!じゃあな!」 貰ってねぇよ!あんたにいきなり無理矢理買わされたんだよ!幸運処か、此程の災難は無いわい…。財布を見ると、1000円しか残ってない。拙い!少しでも取り返さないと!慌てて男性の後を追い、 「すんません…。今1000円しか持ってなくて、流石に此では家計が辛いので、矢張払った金を返してほしいんですけど…。無論、本は返しますので…」 と言う。すると、男性は筆者をギロリと睨み付け、 「しょうがねぇなぁ…。ならば半分だけ返してやるよ、ホレッ」 と、自分が持っていた本を3冊ヒョイッと取り上げ、1500円を返してきた。同時に、前の男性と同じ黄色い法衣を着た白人男性が、 「インドノ、オボッサーンッ!」(インドの御坊さん) と叫びながら近付いてきた。すると、前の男性が、 「こいつはもういい!後は俺が何とかする!」 と言って下がらせた。おい!人に路上で押し売りしといて「こいつ」呼ばわりとは何だ!  悔しい思いをしながら足早に其の場を去る。彼等の経典であろう、買わされた本はブックオフに持ち込んだが、買取価格は1冊5円だった。はぁ…。  彼等はクリシュナ意識国際協会。インドのヒンドゥー教系の新宗教で、ハレー・クリシュナ運動とも呼ばれる。婚前交渉厳禁、ギャンブル厳禁、酒・煙草・茶・コーヒー等厳禁、肉食厳禁等の非常に強固な禁欲主義や、進化論の否定、ヴェーダ等の経典の記述を「歴史的事実」と捉えている事等が特徴。ベルギーでは、1997年に議会からカルトと認定されている。彼等の施設ではインドカレーが振舞われ、無料で食べられるらしい。スティーヴ・ジョブズ(アップル創業者)やジョージ・ハリスン(「ビートルズ」メンバー)等も、駆け出しで困窮していた頃は、此の施設のカレーを食べて飢えを凌いでいたらしい。尚、カレーは教義に則り具は野菜のみである。  冷静に考えたら、積まれた本を投げつけてとっとと逃げても良かったなぁ~。トホホ…。よ~し、いつか連中の施設を訪れたら、タダでインドカレーを腹が割れる程食ってやる! ◎割り込み「にをいがけ」!(天理教)  筆者がとある日の昼頃、駅前でイヴェントの案内チラシを街頭配布する日雇いバイトをしていた時の話。  チラシの受け取りは概ね順調で、「今日の仕事は上手く行きそうだ!」と思ってた処、突然黒い法被姿の男性数名が、チラシを撒いている我々の近くで列を為し、 「只今から、此の場を御借りして、大切な『おつとめ』をさせて頂きます!是非とも御聞き下さい!」 と叫んだ。何だ!?何をおっ始めようってんだ!?チラシを配りながら、法被の男性にチラチラ目をやる。すると、全員目を瞑り、両手を広げ、恍惚の表情で何か歌い始めた。  如何にも宗教臭い歌が延々流れ続ける…。筆者達がチラシを配ってる真ん前でやってるもんだから、通行人は筆者達も此の宗教の関係者と誤解したのだろうか、そそくさと逃げる様に立ち去っていく。チラシも布教活動の為の物と思われたのだろうか、全く受け取ってもらえなくなった。バイトをしてる筆者達から見れば、ハッキリ言って、非常に迷惑だった。  法被をよく見ると、「天理教」と書いてある。成程、彼等が天理教か。表立っての布教活動は初めて見た。天理教は奈良県天理市に本拠地を置く宗教で、本拠地である天理市は「おぢば」(御地場)と呼ばれる。教義は「陽気ぐらし」と呼ばれる、人間が皆で助け合う世界の実現を目指すという物である。天理市を訪れる事を「おぢばがえり」(御地場帰り)と言い、夏に子供向けの合宿イヴェントとして催される「こどもおぢばがえり」(子供御地場帰り)はTVでCMもされているので、見た事があるという人もいるだろう。  教派神道から出発した為か、儀式は榊を使う等神道の影響も見られるが、一神教であり、「いんねん」(因縁)等の仏教用語も使う事から、現在は教派神道からは離れ、「諸教」にカテゴライズされている。宗教用語に平仮名を使う事が特徴で、「おぢば」「いんねん」以外には「おつとめ」(御務め、祭儀)、「ひのきしん」(日の寄進、ヴォランティア活動)、「よふぼく」(用木、信者)等がある。布教活動の事は「にをいがけ」(匂い掛け)と言う。今回出くわした法被の男性の歌も、此の「にをいがけ」だったという訳か…。  著名人では、玉木雄一郎(代議士、国民民主党代表)が自らを「よふぼく議員」と名乗っており、中島みゆき(シンガーソングライター)は「糸」「町へ帰れば」「北の旅人」等の楽曲を天理教の集会等の為に作っている。  個人的には、筆者は天理教の事はカルトとは思っていない。今回の布教の仕方も、自身の教団名を明らかにしており、悪質な物とは言えないだろう。只…、活動する時は周囲の事もちったぁ考えてくれーっ!orz ◎怒号塗れの朝礼!(倫理研究所)  嘗て自分が勤めていた会社では、毎月初めに「職場の教養」という本が配られ、社長から「毎日読むように」と言われていた。本来は会社の朝礼に使われる物らしいが、自分の会社には朝礼が無かったので、自宅で読む事が義務付けられていた。其の「職場の教養」の発行母体である倫理研究所が組織していて、社長が会員である倫理法人会が「経営者の集い」という勉強会を開くという事で、社長に連れられて1度行った事がある。内容は「良き経営者、良き会社人とは何か」といった物で、何となく自己啓発セミナーに近い物を感じた。  其の後、暫く倫理法人会の集会に行く機会は無かったのだが、仕事を辞めて引っ越し、其の先で催されていたある読書会で、其の地域の倫理法人会の会長と知り合いになった。其して、 「早朝に『経営者モーニングセミナー』というのを開催してる。経営者でなくても参加出来るから、来てみてくれ」 と誘われたので、行く事にした。セミナー自体は朝6時から開始なのだが、朝5時から朝礼があるという事なので、朝礼にも参加する事にした。  朝4時50分頃、会場であるホテルのホールに着く。既に朝礼参加者が集まっていた。筆者も朝礼の列に並ぶ。5時が来て、係の人がベルを鳴らすと、朝礼の司会者が、 「活力朝礼ーっ!」 と大声で叫んだ。声デカッ!吃驚すんじゃねぇか!続いて司会者は腕を振りながら、 「ハイッ!ハイッ!ハイッ!ハイッ!ハイッ!ハイッ!ハイッ!ハイッ!」 と、参加者全員に返事を要求してくる。自分も当てられたので、 「ハイッ!」 と答えたが、 「声が小さい!もう1度!」 と怒鳴られ、再び、 「ハイッ!」 と力一杯叫ぶ。然し、 「駄目だ!腹の底から声を出せ!」 「ハイッ!」 「良しっ!次!」 何なんだ、此の軍事教練みたいな声出しは…。怒号其の物じゃねぇか…。朝礼が終わり、席に着こうとすると、会長から、 「未だ未だ自分の限界にリミットを掛けてるんじゃないか?もっと突破力を出して、力の限りの声を出すんだ!」 と言われた。えぇ~…?更にデカい怒号を出せってのぉ~…?  6時。開始のベルが鳴り、セミナーが始まる。全員「ハイッ!」の返事が一様にデカい。先ず最初に、会のテーマソングを歌い、「万人幸福の栞」と呼ばれる黒い表紙の本にある17則を全員で読み上げる。其して、17則の内の1つの解説文を、参加者が輪読形式で朗読する。輪読の説が終わって他の人と交代する時、矢張「ハイッ!」と馬鹿デカい声で返事をし、朗読を始める。自分も朗読に加わろうと、「ハイッ!」と返事をした後、朗読を始めたが、司会者から 「声が小さい!最初からやり直し!」 と言われ、もう1度最初から読まされる事となった。何か疲れるなぁ…。 輪読が終わると、講師による講話が始まる。講師は地元の企業経営者が中心だが、議員等の政治家や、倫理研究所の役員である事もある。内容は企業経営や政治活動の経験に基づいたリーダーシップ論や、倫理研究所の説く倫理観等である。其の中身は一様に自己啓発セミナーっぽい。  セミナーが終わると全員で閉会の挨拶をする。其の後は有志で朝食会が開かれる。折角なので、朝食会にも参加する事にした。  朝食会では席に着くと、司会者が、 「先ず全員姿勢を正し、合掌し、目を閉じて下さい…。自然の恵みと人類の叡智によって、飢えと栄養失調に苦しむ人々が1人でも多く救われます様に。美しい心とマナーで、噛み締めて頂きます。食前の挨拶を致しましょう。復唱して下さい。天地(あめつち)の恵みと(天地の恵みと)、多くの人々の働きに感謝して(多くの人々の働きに感謝して)、命の元を謹んで頂きます(命の素を謹んで頂きます)。頂きます(頂きます)」 と、挨拶をした。復唱する部分は、自分も復唱した。言ってる内容は悪くないが、何とも堅苦しいなぁ。  会員企業の寿司屋が用意した助六寿司弁当を摘まみ乍ら、今日の講話の感想を順々に発表していく。自分もたどたどしい乍らも、感想を述べた。政治家の参加者は、此処ぞとばかりに自己アピールも忘れなかった。  朝食会が終わると、司会者が、 「では全員姿勢を正し、合掌し、目を閉じて下さい…。食後の挨拶を致しましょう。復唱して下さい。天地の恵みと(天地の恵みと)、多くの人々の働きに感謝して(多くの人々の働きに感謝して)、命の元を謹んで頂きました(命の元を謹んで頂きました)。御馳走様でした(御馳走様でした)」 と、閉会の挨拶をした。矢張復唱もあった。其して、朝食会後に会長が、 「次回からは会員として参加しなさい」 と勧誘をしてきた。会費は月10000円。会員になると、「職場の教養」が30冊届けられるという。高ぇーっ!其してあんな本30冊も要らねぇーっ!当時自分は失業しており、転職活動中だったので、 「すんません、今は職探しの最中で、経済的にもかなり苦しいんですけど…」 と断ると、 「会に入る事で、職の良縁も巡ってくるんだ!経済的に苦しいなら尚の事、今直ぐ入会しなさい!」 と言われる。スピリチュアル界隈でよく言われる「引き寄せの法則」かよ!無い袖は振れねーよっ!  其の後も何度かセミナーに参加したが、会長からの高圧的な勧誘が何度も続いて鬱陶しく感じたので、行かなくなった。  倫理法人会は一般社団法人倫理研究所が政財界人、実業家、企業経営者向けに組織した団体であり、倫理研究所とは「純粋倫理の研究並びに実践普及」を目的に掲げる団体である。研究所側は「自身は宗教ではなく、修養団体、社会教育団体である」と主張しているが、源流は教派神道の一派であった、金田徳光の御嶽教徳光大教会に連なる扶桑教ひとのみち教団(現:パーフェクトリバティー教団、略称:PL教団)である。戦前に天照大神や教育勅語の解釈を巡って当局からの弾圧を受け、後の倫理研究所創立者となる丸山敏雄は不敬罪で逮捕される。逮捕を切っ掛けに特定の宗教とは距離を置く様になり、戦後に新世文化研究所と新世会を設立。1966年に倫理研究所へと改称した。  現理事長の丸山敏秋は、財界系右翼団体・日本会議の代表委員であり、日本会議の集会に会員を動員したり、「平和の碑」(従軍慰安婦像)建設反対運動を行なっている事等から、宗教右翼の1つと見做されている。  又、公益資本主義推進協議会という団体と交流が深く、下村博文(元文部科学相)、佐々木喜一(成基学園代表、第2次安倍晋三内閣・教育再生実行会議有識者委員)等、自民党関係者と深く関わっている。公益資本主義議員連盟という議連も設立されており、会長は岸田文雄(首相)、事務局長は二之湯武史(元参院議員)が務めている。此の団体の「公益資本主義」という発想は、岸田の掲げる「新しい資本主義」に強い影響を与えているという。  成田ミイラ化遺体事件を引き起こして世間を震撼させた自己啓発セミナー「ライフスペース」の関係者は、豊島区倫理法人会を設立し、現在も活動を続けている。  社員に絶叫させる様な朝礼を行なうイヴェント「居酒屋甲子園」を立ち上げた大嶋啓介(居酒屋「てっぺん」社長、NPO法人「居酒屋甲子園」代表)も、渋谷区倫理法人会の会員であり、倫理法人会のセミナーに屡々呼ばれている。「甲子園」で行なわれる「本気の朝礼」と呼ばれる絶叫系の朝礼も、「活力朝礼」を参考にした物と思われる。  倫理研究所から分裂した団体として、実践倫理宏正会がある。此については、本書の別項に詳述する。  尚、事実上は宗教と同様の活動をしながら公益団体の法人格で活動している所としては、モラロジー研究所(公益財団法人モラロジー道徳教育財団)がある。此処は天理教信者だった広池千九郎(神宮皇学館教授)が設立し、麗沢大学等を運営しており、日本教育再生機構が編集に携わった育鵬社の右翼的な社会科教科書の採択運動等を展開している。  更に、全国各地でモラロジー協議会を設立し、機関誌「ニューモラル」を使っての勉強会を開いている。れいわ新選組副代表の舩後靖彦(参院議員)は、市川市モラロジー協議会の講師を務めている。  まあ、朝も早うからの大絶叫には見も心も疲れるし、毎月10000円払わされて読みたくもない冊子を30冊も毎月送り付けられたりと、今後関わっても碌な目に合わなそうなので、もう近付かんとこう…。orz ◎毎朝毎朝早々と…(実践倫理宏正会)  嘗て倫理研究所に関わったので、倫理研から分裂したと言われる実践倫理宏正会についても調べる必要があると思い、彼等が実施している「朝起会」に潜入する事にした。  実践倫理宏正会は、ひとのみち教団(現:パーフェクトリバティー教団)出身の上広哲彦(本名:上広三郎)が1946年5月3日に広島県で生活倫理実践会・宏正会を創設し、9月18日に石川県で朝起会を始めた事が起源とされる。1948年、社団法人実践倫理宏正会と改称。現在は「社会教育団体、道徳・倫理・修養団体」を名乗る一般社団法人である。関連団体として、公益財団法人上広倫理財団がある。石川県金沢市にある実践倫理宏正会研修会館(金沢実践倫理記念会館)は、宏正会の行事だけでなく、コンサートホール(井上陽水、クイーン、チェッカーズ、サザンオールスターズ等)やスポーツイヴェント(具志堅用高のボクシングタイトルマッチ等)等の会場としても使用されている。  設立の経緯や年代等については、倫理研側は「上広は1946年に、倫理研創設者の丸山敏雄の下に就いた。丸山が上広に北陸地方への普及活動を命じ、『哲彦』の名は丸山が与えた。上広は高慢で、丸山は屡々注意していた。1950年、突然上広は丸山を批判し、自前の組織である実践倫理宏正会を立ち上げた。丸山は上広を注意・指導したが、戻っては来なかった」と主張しており、宏正会側とは若干の食い違いがある。又、主張の中身を見るに、互いに相当いがみ合っている事も伺える。  朝起会の会場と日時を電話で聞き出す。何と朝5時から、毎日やっているという。毎日毎日朝も早うから…。凄まじい。  朝起会は先ず開会のベルを鳴らし、「朝の誓い」と呼ばれる5つの言葉を全員で唱和して始まる。其して上広の著書を朗読し、其の感想を予め指定されている参加者が発表し合う。発表者は「わたくしは、○○です」と自己紹介をしてから話を始めるのが決まりとなっている。其して「結びの誓い」と呼ばれる言葉を唱和し、閉会のベルを鳴らして終わる。会は全体で30分前後である。開閉会の合図にベルを使う事や、自己啓発セミナーっぽい内容、誓いの言葉の唱和等は、倫理法人会とそっくりである。只、倫理法人会は男性の会社経営者が多いのに対し、宏正会の参加者は女性が多く、又、高齢者ばかりである。  数日後に県大会があるという。此は好都合!更に内部を覗ける!筆者も二つ返事で参加を約束した。其の後、 「宏正会の者ですがぁ~、集合時間は○時でぇ~、入場時間は○時でぇ~、服装はぁ~、失礼の無い様にぃ~、正装で御願しますぅ~」 という電話が大会の日迄毎日掛かってきた。いや、もう其は何度も聞いたし…。しつけーなぁ。其に「失礼の無い様に」って、頼まれて参加するのに、参加者を目下・格下の者の様に扱う物言いはどーなん?どんな偉そーな奴が来るんだ?  会場となるホールでは、座る席も指定されている。座席表を見ると、自民党県議の名前が。彼も会員なのか?朝起会では見なかったが。  大会当日。朝の電車に乗ると、明らかに異質な老人の集団が乗り込んでくる。全員一様に男性はスーツ、女性はドレスかスーツ姿、其して、胸元に菊型のバッジを付けている。「若しや此の集団、自分と行き先が一緒か!?」と思ったら、案の定だった。全員筆者と同じく、会場となるホールへ真っ直ぐと向かっていった。  会場のホールに着くと、黒山の人だかり。遠方から貸し切りバスで来ていた集団もいて、旅行会社の人が案内係をしていた。入場券を用意し、顔をスキャンする方式の体温計で検温する。検温と同時に「未登録参加者」の文字が。えっ!?此の体温計、顔認証の道具でもあるのか!此んな風に参加が管理されてると、迂闊に欠席も出来んなぁ…。恐ろしい。  指定時間通りに席に座る。隣に座っていた、役員と思しき男性に声を掛けられる。 「今日は御参加有難う御座います。態々御電話を下さって朝起会に御越し下さったんですよね?会に参加されて如何ですか?」 「そうですねぇ、道徳的な内容という感じで…」 質問される事を想定してなかったので、かなり雑な回答をしてしまった。  開会10分前になると、自民党県議も席に着いた。其して、アナウンスが始まる。 「会に先立ちまして、全員で会歌を斉唱致します!全員御起立下さい!」 全員一斉立ち上がると、前奏が流れ、会歌斉唱が始まった。自分は初めて聞く歌なので、立った儘黙って聞いていた。会歌斉唱が終わると、全員着席した。 「此より、実践倫理宏正会、大会を開会致します!」 始まった!さて、どんな内容だろうか…。壇上の幕が上がっていく。バックには大きな日章旗、講壇には菊のマーク。うわ~っ!右翼臭ぇ~っ! 「最初に、祝電を披露致します!」 と、祝電の披露。地元選出の自民党国会議員2人の物だった。続いて、女性3人による体験談の発表会。矢張、3人とも「わたくしは、○○です」の自己紹介から話を始める。奇しくも3人が選んだテーマは、全員「家庭愛和」。全員一様に、 「自分が余計な事を言わないで…」 「自分が常に気を配って…」 「自分が…」 と、自己反省と自己抑制を語る内容。反省は悪くないけど、余り自己を抑圧してばかりでは、ストレス溜まって疲れんかなぁ…? 「続きまして、会長先生の講演です!皆様、拍手で御迎え下さい!」 会長の講演が始まった。白髪に四角い眼鏡の初老の男性。此が上広哲治か…。 「今はVUCA、『ヴーカ』の時代です。Vは変動性、Uは不確実性、Cは複雑性、Aは曖昧性です。今は其んな、予測不能な状態なのです」 VUCAって言葉は初めて聞くな。後で調べてみたら、1990年代頃から米軍で使われ始めた言葉らしい。 「先が見えない現代、1番大切な事は倫理の実践です。利他を実践すれば、其は自利として戻ってきます」 やっぱ結論は「実践倫理」か…。「自利利他」は仏教思想に繋がるな。 会長の講演が終わる。案外短かった。然し、会場のホールは満席で、兎に角人が密で、然も上着込みのスーツ着用義務があったので暑かった。勧誘されるのも嫌なので、足早に会場を去った。  後日、「大会参加の御礼」と称して朝起会のメンバーが自宅を訪問してきた。其して、「SDGs曼荼羅チャート」なる物をくれた。見ると、SDGsとは全く関係無い、気持ち悪い道徳用語が羅列された物だった。完全に宗教じゃねーか!  参加者や祝電等で分かる様に、政治との関係では与野党の保守系議員と関係が深く、橋本龍太郎(元首相)、奥田幹生(元文部相)、森喜朗(元首相)、小泉純一郎(元首相)、加藤紘一(自民党元幹事長)、武村正義(新党さきがけ元代表、元蔵相)、亀井静香(国民新党元代表、元建設相)、後藤田正純(代議士)、逢沢一郎(代議士)、高市早苗(自民党元政調会長)、後藤茂之(元厚労相)、萩生田光一(自民党政調会長)、末松信介(元文科相)、前原誠司(元外相)、逢坂誠二(立憲民主党代表代行)等が朝起会や大会、式典等の集会に参加している。  朝起会には安倍晋三銃撃事件の被疑者の母(統一協会信者)も参加していたという。母は朝起会にのめり込んだ為、被疑者の家庭は育児放棄状態で、其の事に苦悩した被疑者の父は自殺したという。教義其の物に男尊女卑やネグレクト(会内では「捨て育て」と言われる)等を求める物もあり、矢張深入りは禁物である。 ◎(自称)超高学歴トップエリート集団!(無教会主義集会)  筆者がキリスト教信仰に入っていった頃、様々な教派の教会を巡り、自分は何処に身を置くべきかを考えている時期があった。キリスト教会は大まかに分けると正教会、カトリック、プロテスタントがあるが、プロテスタントは更にルター派、改革派、会衆派(組合派)、バプテスト、メソジスト、クエーカー(キリスト友会)、救世軍、ペンテコステ派等、多岐に渡っている。其んな時、無教会主義の集会が近隣で催されている事を知り、責任者の人に連絡を取って行ってみる事とした。    無教会主義集会とは、内村鑑三の思想を受け継ぎ、「教会(エクレシア)とは建物の教会堂ではなく、信仰を持つ者による集会の事である」と定義し、既存の教会にある儀礼等を排し、聖書研究と講義を中心とした集まりである。内村の弟子にはインテリ層が多く、東大総長となった南原繁や矢内原忠雄等、学者・研究者を多く輩出している。  図書館においてあった「キリスト教年鑑」で責任者の人の電話番号を調べ、電話でアポを取り、参加してみる事とした。日時は毎週朝10時からで、場所は県下1番の進学校と言われる某高校の教室を借りているという。  会場となる高校に辿り着き、教室に着く。受付で、始めて来たが集会参加希望者だと伝え、レジュメを受け取り席に着く。責任者が教壇に立ち、 「其では、今日の聖書講義を始めます」 と宣言し、礼拝、というか講義がスタートした。  講義は祈りの言葉や讃美歌合唱等も無く、正に学校の授業といった雰囲気。レジュメには今日の講義の要旨や古代イスラエルの地図が書かれ、かなり本格的に研究している事が伺える。礼拝とは違った独特の雰囲気だ。神学校の講義って、此んな感じなのかしら?  講義が終わり、責任者に話し掛けられる。元高校教員との事である。現在は定年退職し、此の集会の責任者に専念しているという。 「よく来たな。君は内村鑑三に興味があるのか?」 無教会という事で、矢張内村鑑三の話が出る。 「はい。余り詳しい訳じゃありませんけど。」 「我々も内村の思想に基づいて此の集会を開いてるんだ。教会というのは『エクレシア』と言って、此は信徒の集まりの事を指すんだ。建物としての教会堂の事を指す言葉じゃないんだよ」 うむ、矢張内村の語ってきた事其の物だな。 「処で、君は高校は何処だ?」 え?出身の高校なんて関係あるんか?少し怪訝に思いながらも答える。 「あ、自分は県外出身なので…」 と言い始めた処、筆者の言葉を遮る様に、 「フンッ!」 と鼻で笑った。え?今笑うとこ??其して、 「僕等はだねぇ!○○なんだよ!○、○!」 と、会場となっている県下1番の進学校の名を誇らしげに言った。 「はあ…」 と生返事をすると、 「君は○○を知らんのかね?」 と聞いてくるので、 「あ、まあ県外出身なので…」 と言うと、 「そうか!君は○○の事も知らんのか!そりゃあ又随分と物を知らん奴だな!ハッハッハ…」 と大笑いし始めた。周囲の参加者も自分を指してクスクス笑っている。何だ!?此の失礼極まる連中は!! 「此の会はだねぇ!○○高校の卒業生だけが参加しているんだよ!其を○○高校の事を知らん奴が来るとはねぇ。いやぁ!此は傑作だ!アーッハッハッハ…!」 うわ~、気持ち悪ぃ!トンデモ極まる学歴至上主義だな!非常に嫌な気分になり乍ら、会場を後にした。  田舎の地域では、高校は公立の進学校に行き、大学は地元の国立大学に行き、医者か教員になるのがエリートコース扱いされる事が未だある。中には、大学で県外の難関大学を卒業していても、高校が県下1番ではないと数段落ちる、格下の扱いをされるという事が非常に多い。自分達は県下1番の高校を出て、地元の国立大学を出て教員になったから自らを超高学歴トップエリート集団だと勘違いしてる様だが、そんなもん井の中の蛙に過ぎんからな! ◎除霊1回50000円!(心の整体)  筆者はマッサージや整体の類が大好きで、プロの按摩マッサージ指圧は言うに及ばず、鍼灸、整体、カイロプラクティック、リラクゼーション、ボディケア等、全て大好きで、よく通っている。ある日、「心の整体」なる看板を掲げている店を見つけた。「心理療法とかもやるんかな?まあ身も心もリフレッシュ出来そうで良いかも」と思い、予約して行ってみる事にした。  店の中に入ると、神棚や仏壇、達磨、熊手等、あらゆる宗教的グッズが所狭しと並んでいる。仏壇には下り藤の紋があるのだが、「あれって浄土真宗本願寺派って事か?然し浄土真宗って、こういう神仏習合や混合宗教的な事を嫌う筈なのになぁ…」と不思議に思ってしまった。主の男性は坊主頭で、修験道の山伏の様な服を着ていた。先ず最初に、フルネームと生年月日を紙に書かされる。すると、男性は銀色のペンダントの様な物で名前と生年月日を書いた紙を擦り始めた。暫くして、 「じゃ、整体を始めようか」 と言われ、ベッドに寝る。其して、全身を揉み解された。料金は1時間で5000円。まあ安くはないが高くもない。整体としては相場の範囲内の値段だろう。整体が終わった後、 「後日、又来なさい」 と言われたので、日を改めて来る事にした。  数日後、再び訪れる。前回と同じく、名前と生年月日を紙に書かされ、男性は紙をペンダントで擦る。すると、 「あんたには金神(こんじん)と死神が憑いてる。此が憑いてる限り、何をやっても体調を崩し、やがて死ぬ。除霊しなければならんから、今直ぐ50000円払いなさい」 何!?金神って何よ!?其して50000円だと!?!?突然の高額請求に腰を抜かす。50000円なんて大金、今持ってない処か直ぐ用意も出来ないし、其に何だか得体の知れない物に50000円も払うというのは何か非常に抵抗がある。其処で、 「すんません、流石に50000円なんて大金は持ってないので、手持ちの金の範囲で何とかしてほしいんですが…」 と、値段交渉をする事にした。男性が、 「じゃあ、今幾ら持ってる?」 と言ってきたので、財布の中を覗いてみる。中にあったのは5000円。 「じゃ、其全部出してくれ」 と言われ、財布を取り上げられ、5000円を抜き取られた。此で財布はスッカラカンである。其して前回と同様、1時間程全身を揉み解され、 「今回は死神を1つだけ除霊した。未だ4つ残ってる。金神も未だ残ってる。此等を全部除霊しないと、あんたは直ぐ死ぬ。次来る時は、ちゃんと50000円持ってきなさい」 と言われ、帰された。  家に帰って、金神とは何か調べてみた。金神とは、凶をもたらす方位神の1つであり、「七殺」(家族7人が殺されるか、家族が7人に満たない場合は隣家の人も殺される)等の災厄をもたらす神として恐れられており、修験道では「金神封じ」の祈祷を行なう人もいたという。一方で、大本や金光教等の様に、金神を強力な神として敢えて受け入れ、信仰の対象にしている宗教もあるという。つまり、金神が憑いているからといって必ずしも悪い訳ではないという事が分かった。其して、此の事を知人に相談すると、 「あんた其、典型的な騙しのテクニックじゃない!霊がどうのこうのと言って脅して金を取ろうとするなんて、思いっきり霊感商法よ!其んな所にはもう行く必要無し!あんたは祟られてなんかいないから!」 と言われ、取り敢えずホッとした。危うく霊感商法に引っ掛かりかかってしまうとは…。  此の謎の整体屋は、今は「平成テルテル」と名前を変え、今も営業を続けている。「整体」なんて名前が付いてなければ、絶対足を踏み入れる事も無かったろうになぁ~…。まあ、もう2度と近付くまい…。orz ◎宵の口の宗教爺さん(立花隆信者)  筆者は、近所にある大学図書館に利用登録し、時々蔵書や資料の閲覧等で利用している。其の日も本や新聞を読み、ネット用PCで少し遊び、外の空が薄暗くなってきたのでそろそろ帰ろうと思い、図書館を出た。  自転車置き場で自分の自転車を見つけ、乗ろうとした其の矢先、突然老齢の男性に声を掛けられた。 「君君っ!君は立花隆先生の『脳死』という本は読んだ事はあるかね?」 立花隆って、あの通称「知の巨人」のジャーナリスト?「脳死」という著書があるのは聞いた事があったが、読んだ事は無かったので、 「いえ、未だ…」 と答えた。すると、 「あの本は素晴らしい!どの様にして人間が出来ているかが非常によく分かる!」 う~む、まあ確かに脳死というのは医学や法学、倫理学等を学んでる人は特に、生命倫理という観点で重要なトピックだもんなぁ。更に臓器移植も絡むとなると、自分や家族が脳死状態になった時、「生命維持をやめて臓器を移植に回してほしい」と言えるだろうか?其の脳死判定は完璧で、本当に植物状態とは違うと判断出来るのだろうか?等、色々考えてしまう。物思いに耽ってると、男性は、 「君は、人間にとって1番大切な物は何か、分かるかね?」 と聞いてきた。筆者は、 「いやぁ、分からないですねぇ…」 と答える。すると、 「其は、宗教!宗教なんだよ!宗教を信仰しているかどうかが、人間にとっては1番重要な事なんだよ!」 な、何だぁっ!?いきなり宗教とか言われても!つーか、そもそも立花氏は脳死と宗教の関連性については言及してるのか!?男性は畳み掛けるように続ける。 「僕は放送大学でね、宗教について専門的に勉強してるんだよ!宗教を信仰している事で、人間は脳を使って思考をするという事なんだよ!人間の根本は宗教!」 成程、放送大学か。そういえば、此の大学には放送大学の学習センターが併設されてたっけ。確かに放送大学なら色んな講義を開講してるから、宗教学の講義もあろうな。其に、あの大学は「生涯学習」を強く打ち出してるから、定年退職後の年配の学生がいるのも不思議ではない。とはいえ、宗教という言葉の連呼に只々圧倒される。然し、宗教にも仏教、神道、キリスト教等、色々あるが、此の人は何を信仰し、又、信仰すべきと思ってるんだろうか? 「君は、何か信仰している宗教はあるかね?」 当時は未だ無神論者だった筆者は、 「いや、何も…」 と答える。すると、 「其なら先ず、信仰したい宗教を見つけなさい!宗教を信仰するんだ!宗教!」 あ~、もう!宗教宗教五月蝿ぇーっ!!!流石に鬱陶しくなってきたので、 「すんません、急いでるのでそろそろ…」 と言って立ち去る。すると、別の学生を捕まえて、 「君君っ!君は立花隆先生の『脳死』という本は読んだ事はあるかね?」 と、自分と全く同じ文言で話し掛けてた。何なんだ、あの老人は…。  確かに、宗教を信仰するという行為は、他の生物には見られない、人間特有の行為かもしれない。然し、「宗教が脳の思考を司っている」なんて珍説は聞いた事が無い。筆者は宗教的な活動や文化は全否定しないが、ハマり過ぎには注意を促したい。  尚、宗教学や仏教学を体系的に学べる通信制大学としては、放送大学以外には日本大学、佛教大学、武蔵野大学等がある。又、慶応義塾大学や大手前大学、中部学院大学等の様に、宗教系の学科は置いてないものの、宗教学や神学・キリスト教学等の講義を開講している大学もある。昼間制・通学制の大学なら、神学部、仏教学部、神道文化学部等、独立した専門の学部として宗教学を学べる大学がある。 あとがき  今回は、精神的・経済的にかなりダメージを負った事例も、赤裸々に包み隠さず紹介した。此の本が、読者の方々がカルトの魔の手から逃れる為の手助けとなれば幸いである。 水野 松太朗
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