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不慣れな僕は、アミに申込用紙を書いてもらったり靴の借り方を教えてもらったりで、格好悪い。
「すごいっ、ターキーだ!ボーリング得意だったんだね」
「真っすぐ投げただけだよ?」
「それが、すごいことなんだけど」
「そうなの?」
噛み合わない会話。ストライクが連発することに驚いたのは、アミだけじゃない。僕だって予想外の展開だ。アミの尊敬の眼差しが照れくさい。
「ねえねえ。ボーリング教えてほしいな」
「いいけど」
社会経験のない僕が優位に立てることなんて滅多にないから、ちょっと気取ってみた。アミの服装でボーリングなんて不向きに思うんだけど、本人がやる気だから付き合おう。
「どこ見てるの?」
「足元。動き辛くないかなあって」
「本当かなあ。気になるのは、ワンピースの中だったりして」
アミはワンピースの裾を捲し上げていく。僕は膝小僧までが限界で、耳まで真っ赤になるのを感じて顔を覆った。
「エッチなんだー」
「もうっ。からかわないでよ、アミ」
「じゃあ、ちゃんと教えてくださーい」
アミは軽い赤色ボールを指にはめてレーンの前に立つと、おしりをクネクネさせた。
「まだあ?早くー」
「わかったよ」
「やった」
フォームを伝えるために、アミの体を覆うと冷たかった。僕はアミのボーリングの玉を取り上げてリターンラックに戻す。
「えー、なんで戻すのー」
「体を温めるため。寒いんでしょ」
「アハハ。そう。クーラー効きすぎて寒いの。わー、あったかーい」」
「僕の前で無理してほしくないんだけどなあ」
アミがハッとした目で僕を見るから、僕のことを忘れないようにきつく抱きしめた。
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