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「よかったね、映画」
「う、うん。そうだね」
泣きはらして充血したアミと感想を言い合いながら、ボーリングに向かうところだ。ボーリングなんて低学年の時に家族と来たことがあるだけで、ほぼ未経験。
「もう一度観なきゃだね。主人公が自分の気持ちに蓋をして、好きな人の側で平静を装う姿とか恋愛相談にのる細かい描写がさー。それを知った上でもう一度始めから観ると……あー、また泣けてきた。私だったら絶対に耐えられないよ」
『湿っている』よりも『濡れている』に近いハンカチを、アミはまた目に当てた。
「僕は、早い段階で伝えちゃうかも」
「私は言わないな。相手に嫌われるように振る舞うかも」
「ええー。それだったらモヤモヤしない?」
「だって、大好きなんだよ?自分から去ることなんて、できないよ」
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