タイムトリップ

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タイムトリップ

「ここは……どこ?」  女子高生明莉(あかり)は、白い陶器製らしき椅子に尻もちをついていた。  お庭の木の手入れを手伝って、脚立の上にいた時、うっかり足を滑らせて落ちたのだが……。  明莉がそのひどく狭い部屋でキョロキョロしていると、バタバタと走ってくる足音がした。そして目の前のドアが勢いよく開いた。 「よっしゃ!間に合っ……  え? 誰?」  入ってこようとしたのは、学生服を着た少年だった。 「誰?と聞かれたら、明莉だけど。  あなたは誰?  ここはどこ?」 「俺はここん家の息子。  ここは俺ん家の便所。  あんた、何してんの?」 「お庭の手入れの手伝いをしていたんだけど。」 「あー、剪定業者の家族?  了解、了解。    ところで、俺切羽詰まってんの。  見たとこ用は済んでるみたいだし、出てくんない?」 「あら、ごめんなさい。」  明莉はトイレを出た。  うちのおトイレとは仕様がずいぶんちがうなと思った。
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