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そして・・・今日のバイトが始まり、しばらくしてから私はカメラを持っていた手を下に向けた。 「今少しいいですか?」 声を掛けたのは、一昨日私がオバサンと言って噛み付いた2人のオバサン。 そのオバサン2人が少し驚いた顔で・・・でも、私を無視することなく見てきた。 そんな2人に言った。 「一昨日は噛み付いてすみませんでした。」 謝った私に、オバサン2人は凄く驚いた顔をしている。 そんなオバサン2人に続ける。 「私はお兄ちゃんのことが昔から大好きなの。 お兄ちゃんと結婚したいと思って、それを夢見て生きてるの。 だから、あんな風に私に彼氏の話とかしてきたからムカついた。」 そう・・・噛み付いた・・・。 でも、これは鋭い歯で噛み付いたのではない・・・。 甘く、噛んだ・・・。 甘噛みをした・・・。 「私は、お兄ちゃんのことが大大大好きなの。 本当に・・・大好きなの。 だからもう、あんな話しないで。」 私を普通の鮫にはしないで・・・。 彼氏なんていらない・・・。 彼女なんかになりたくない・・・。 そんなの、普通じゃないかもしれないけど・・・。 でも、それは曲げられない・・・。 変えられない・・・。 私は獰猛な鮫・・・。 それもピンク色の鮫・・・。 変えようとしないで・・・。 この現実の世界を泳ぐのはとても厳しいけど・・・ それでも、生きているから・・・。 私は生きているから・・・。 私は、生き延びる・・・。 “お母さん”が私をピンク色の鮫に生んでくれたのなら・・・ ピンク色の鮫のまま、私はこの世界を生き延びる・・・。 守る為に、戦う・・・。 この鋭い歯で噛み付いてでも・・・。 この鋭い歯で、甘噛みしてでも・・・。 生き延びてみせてやる・・・。
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