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「待たせてごめんな。待ち疲れただろ」 「…うん…」  カチャッと鍵を開けて、白い門扉を薫が開ける。  背中を軽く押されて中に入った。  薫が内側からまた鍵をかける。  そして薫はそのまま僕に手を伸ばして、ぎゅうっと抱きしめてくれた。 「…ちょっと、淋しかったよ?薫…」  ほんとは、すごく淋しかった。  12月の土日は全然会えなかった。去年まではもうちょっと会えてたと思う。  仕方ないって解ってる。  でも…。 「…うん。ごめん、裕那」  そう言った薫が、僕の背中をまたぽんぽんと叩いて、 「中入ろっか」  と言った。そして僕の肩を抱いて玄関へのアプローチを歩き始める。    朝比奈家の白く美しい洋館は、この時期クリスマスのイルミネーションで飾られている。今年はシャンパンゴールドのライトがキラキラと輝いていた。光るトナカイのオブジェが可愛い。  白いドアに映える緑とゴールドのリース。  そのドアを薫が開けて、中に(いざな)われる。  玄関には大きなクリスマスツリー。 「今年も綺麗だねー。毎年のことだけど洋館にクリスマスツリーはホント似合う」 「でも本番の日はほとんど見られてないけどな。皆出かけてて」    ドアに鍵をかけた薫が、僕を後ろからぎゅっと抱きしめた。 「オレの部屋、行こっか」 「うん…」  身体の前に回された薫の大きな手に、手を添えた。 「裕那の手は冷たいな」  薫が僕の手を包むように握った。  あったかい  手を繋いで階段を上って、薫の部屋に入った。  いつものように薫が僕のコートを脱がしてくれようとした。 「あ」 「ん?」  プレゼント!忘れちゃうとこだった。  …薫の顔見たので舞い上がってた。 「あの…薫、メリークリスマス」  ポケットから小さい包みを取り出して薫の前に差し出した。 「うわ、ありがとう、裕那。なんだろ。開けていい?」 「うん。開けて開けて」  普段みんなで集まる大きなテーブルに移動して、薫が長い指で丁寧に包装紙を開けていく。  すっごい悩んで決めたプレゼント、気に入ってくれるかな? 「タイピン!ありがとう。明日から使うよ」  そう言った薫が僕をぎゅうっと抱きしめた。  銀色の、少し捻ったようなデザインの細身のネクタイピン。  薫はネクタイを締めることが多いから、と思って選んだ。 「オレもあるよ、プレゼント」  改めて僕のコートとマフラーをハンガーにかけてくれながら薫が言った。  そしてクローゼットの中から、綺麗な小振りの紙袋を出してきた。 「あ、でも半分プレゼントで半分プレゼントじゃないんだよなぁ」 「え?」  どういうこと?
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