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昨日の夕食を抜いたせいかいつもより早く目が覚めてしまった。
すると隣でライナーがもぞもぞと動き、ゆっくりと起き上がった。
「起こしちゃった?」
「いや。腹が減って目が覚めた」
どうやらエメと同じ理由のようだ。
「おんなじだね」
と笑うとそうなのかとライナーも笑う。
「昨日のスープ食べようか」
「あぁ。楽しみにしていたんだ」
着替えをし、キッチンへと向かう。
その後にライナーが続き後ろから鍋を覗き込んだ。
「いいにおいだ」
後ろから抱きしめるようなかたちで、なんだか朝からむずむずとするなと尻尾を揺らした。
「こら、俺のあれを刺激するな」
「ん?」
あれと言われて顔を後ろにむければ尻尾が下半身のものへと触れていた。
「え、あ、そんなつもりじゃ!」
ただ嬉しかったから揺れてしまっただけでそういうつもりではない。
「誘っているのか?」
口角が上がり、熟した大人の色気を感じさせた。
「ライナー先生、俺、本当にそういうつもりじゃ……」
恥ずかしくてうつむくと、冗談だと頭を撫でられる。
「エメは初心だな」
昔は一緒にふろに入っていたからライナーのも見たことがある。だがそれを意識をしてしまったら駄目だ。
「ライナー先生、座って待ってい、あっ」
頭を撫でていた手がゆっくりと背中を撫でて尻尾へと触れる。
「ひゃ、せんせい、尻尾は」
「ルクス系は耳と尻尾が弱いんだったな」
ルルス系が顎の下や頭を撫でられるとゴロゴロと喉を鳴らすように、ルクス系も気持ちよくて尻尾を揺らし、キューンと甘える声が出てしまう。
「ふふ、顔が真っ赤だ。エメはそのままでいい」
とライナーの手が離れて椅子を引く音が聞こえた。
「ライナー先生こそ朝からやめてよぉ」
からかわれたのだ。
ライナー曰く、可愛いからするのだそうだ。たまにこういうことをしてくるのでそのたびにこの言葉を思い出す。
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