一緒に朝ご飯

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「こうやって若いのを構うから鬱陶しいがられてしまうんだな」  その言葉にスープを皿によそう手がとまった。それは自分以外にもしたということか。 「え、ライナー先生、誰かにやったの?」  揺れていた尻尾の動きが止まる。 「ん、まぁ、な」  すぐに思い浮かんだのはニコラだった。可愛い人の子だったから構いたくなるに違いない。 「そう。ライナー先生、俺はいいけれど他の子は駄目だよ。勘違いしちゃうから」  声が震えそうになりながらもなんとか言えた。 「そうだな。俺も嫌われたくはないから気を付けるよ」  その答えはさらにエメを傷つけた。 「うん、それがいいよ」  スープをよそいライナーの前へと置くと、 「ライナー先生、俺、朝食はいいや」  エプロンをはずして椅子に掛けた。 「エメ」  ライナーの手が腕をつかむ。こんな気持ちで一緒に食事は無理だ。そう思っていたのに、 「一緒に食べたいんだ」  そんなふうに言われたら気持ちが揺らぐ。 「美味しいものはエメと一緒がいい」  さらに追い打ちをかけられて、エメの心は簡単に傾いた。  そんなふうに言われたら嬉しい。それでも突っぱねる真似などエメにはできなかった。 「わかった。一緒に食べよう」  と口にしていた。  皿をとり自分の分をよそうと椅子に腰を下ろす。 「頂きます」  ふたりそろって手を合わせてスープを一口。野菜と肉が柔らかく、出汁がスープに溶け込んでいる。 「美味いな」 「うん。少し味が濃くなったからパンを浸して食べるといいよ」 「そうしよう」  パンをつけて食べると最高に美味しい。 「耳がピコピコと動いていいるぞ」  そう言われてエメは恥ずかしくて耳を抑えると、 「だが、そうなるくらい美味い」  ライナーは自分の耳をつまんで動かした。 「ふふ、一緒」  優しい目をして見ている。
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