一緒に朝ご飯

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 温かくて幸せな時間に胸が切なくなりキューンと喉が鳴った。 「こら、そんなに可愛い顔をしていると撫でまわすぞ」 「うん、せんせいになでられるのすき……」  うっとりとライナーを見つめていたら鼻先に痛みが走り、 「きゃうんっ」  どうして指ではじかれたのかわからずに両手で押さえる。 「なんで」 「ボーとしているからスープが垂れているぞ」  と指さす場所へと目をやれば確かに汚れていた。 「わっ、拭くものっ」  椅子から立ち上がりキッチンへと向かう。そして布巾を探しながら息を吐いた。  惚けていた。ずっとこのままでいたいと思っていたのだ。このままではライナーと離れるなんて無理だ。 「俺が番になる、ていうのもありなのかな」  だが子ども扱いされているのだから相手にされるはずがない。 「はぁ、悩ましいっ」  頭を抱えてしゃがみこむと、 「エメ、どうした?」  心配そうな顔をしてライナーがキッチンへとやってきた。 「なんでもないよっ。ついでにおかわりしようか悩んでたの」  正直に言えるわけもなく、子供っぽい理由を答えてしまった。 「そうか。お替りはお皿に残った分を食べてからな」  これだからいつまでたっても大人の雄には見られないのだろう。 「そうだね」  共に席へと戻り食事を再開し、おかわりもしっかりと頂き片づけをする。 「ライナー先生、行くね」 「あぁ。また昼に」  ライナーと別れて部屋に戻るとそのまま座り込んだ。  自分だって番になれるのだと意識してしまいそれでいっぱいになっていた。 「どうしてそんなことを思っちゃったかなぁ、俺」  番となるのは自分のような子供ではなく歳の近い人がなるのだろうと思っていたからだ。 「そうだ。自分など相手にされるはずなんてない」  何を考えていたのだろうと一気に熱が冷めた。  それ以上を求めるなんて厚かましい。傍にいることを許してくれたからそれに甘えすぎたのだ。少しずつでも距離を置くことを考えた方がいいだろう。
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