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「ライナー先生から保護施設で食べている美味しいパンを作っているのはエメさんだってことを聞きました」
「皆、パンを食べるのが楽しみで、いつか俺も皆を笑顔にするような美味しいパンを焼きたいって思うようになって」
キラキラとした目を向けて交互に話をし、
「お願いします。俺たちを弟子にしてください」
ギーとルネの声が重なり、深く頭を下げた。
祖父がパンを作る姿を見た時、エメも彼らのような目をしていたと親から言われたことがある。
どうしてあんなに美味しいパンが焼けるのだろう。自分も焼いてみたい。憧れから今の自分がいる。
切っ掛けは同じ。しかも真剣にな彼らを無下になどできようものか。
ライナーは確信していたに違いない。エメが気に入ることを。
「ふたりとも、朝早いけれど大丈夫かな」
その言葉を聞いた瞬間、ギーとルネの耳と尻尾がシンクロし立ち上がる。
「はい!」
「がんばります」
「よし。それじゃ、明日からよろしくね」
「はい。ありがとうございます」
改めてふたりと握手をかわし、席に座るように促した。
味のしみた鳥肉を小麦にまぶして熱した種油へと入れ、あつあつの揚げ鶏肉の完成だ。
香ばしいにおいは若い獣人の鼻を刺激したようで、早く食べたいと顔に書いてある。素直な反応を見せる双子は可愛い。
「さ、熱いうちに召し上がれ」
大皿に揚げ鳥肉を盛りスープをよそう。
良い食べっぷりを見せるギーとルネに頬が緩む。自分には年上の兄弟しかおらず、弟がいたらこんなかんじなのだろうとほほえましい気持ちとなった。
「美味しいです」
「ライナー先生が自慢するのわかります」
それは寝耳に水だ。
「ライナー先生、自慢って」
「あ……ほら、エメのパンが美味しいから。他の料理も美味しいんじゃないかという話しになって。な」
「え、えぇ、そうです」
何か含みのあるような言い方だが自分の知らぬところで褒めて貰えたのは嬉しいので追及はしなかった。
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