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店を開けるまでエメはパンを焼き、それをふたりは熱心に見ていた。
パンが焼きあがると香ばしい香りに尻尾が揺れるのはエメも同じだ。
「味見をしたい人!」
するとふたりは元気よく手を挙げてる。
「はい、火傷しないようにね」
焼き立てのパンはとても熱く紙に包んで手渡した。
息を吹きかけてハフハフといいながら食べると目を大きく見開いて互いに顔を合わせた。
「おいしぃ」
とろけるような笑みを浮かべるギーとルネが可愛くて口元が緩んだ。
ふたりから合格点を貰い棚に焼き立てのパンを並べる。
「いいにおいに包まれていて、幸せですぅ」
フンフンと鼻を鳴らすふたりにエメも一緒に匂いを嗅いで笑いあった。
「お客様がきたら元気よく『いらっしゃいませ』と声をかけてね」
「はい、頑張ります」
「頑張ります」
「袋はカウンターの下にサイズ順になっているから。パンは一つずつ紙の袋に入れてね。別の棚に小さいのがあるから」
「わかりました」
そろそろ店を開く時間だ。吊るし看板のクローズをオープンにするのに店のドアを開くと外には既に客の姿がある。
「いらっしゃいませ」
エメが声を掛けるとふたりも大きな声で挨拶をする。
その声に、店員さんが増えたのねと言われ、今日からよろしくお願いしますと声をかけた。
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