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悲しい別れ
『菊ばあちゃん…お願い、遠くへ行かないで』
病院の個室の窓から差し込む優しい光。
『由奈(ゆな)ちゃん。今まで私は幸せだったよ。みんなのおかげ。ありがとうね』
その言葉に、窓際に置かれた小さな花瓶の中の花達も、少し寂しそうに見えた。
『そんなこと言わないで。私、菊ばあちゃんともっともっとたくさん話したいよ』
『私も、もっと由奈ちゃんと話したいわ…でも…もう…本当に…残念ね』
『さあ由奈、菊ばあちゃん、疲れてるから少し休ませてあげよう』
『…う、うん』
私は、後ろ髪を引かれる思いで病室を出た。
総合病院の待合室でママと2人で話す。
『菊ばあちゃん、死んじゃうの?』
『あなたはずっと菊ばあちゃんに可愛がってもらってきたから寂しいだろうけど、由奈ももう18歳なんだから、悲しいけど現実を受け止めなきゃ』
『…でも…』
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