プロローグ

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プロローグ

聖なる日を目前にした街路樹は、キラキラと輝く装飾が施され、冷え込む夕暮れを少しばかり和らいでくれる。 香しい匂いがそこかしこの家々から溢れる住宅街。 綺麗な飾りを纏った大きなもみの木のある家の門前には、背の高い壮年の男がまだ幼さの残る少年の手を取り、その拳に力を込めた。 「未来君っ、本当にありがとう。うちに入る事を了承してくれて」 強くて握られた男の手からは、その気持ちと同じくらいの熱を少年に伝えた。 「君がまたメディアに戻れば必ずもう一度ブレイクするだろう。君は本当に魅力的で才能もある。君のような子は100万人、いや、1万人に1人いるかいないかだよ」 男は自分の熱い思いを少しでも少年に届かせようと、軽く腰を屈め、その目線に合わせた。 それはまるで、愛の告白、プロポーズの様。 そして男は両の手で小さな手を包み誓った。 君が少しでも輝く為なら何だってする。 君の夢や希望は全て叶えよう。 君を必ず世界で通用する大スターにさせてみせると…。
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